胎児の世界/人類の生命記憶/中公新書691 三木成夫 中央公論社 昭和58年5月15日印刷 昭和58年5月25日発行 |
文字通り、夢野久作『ドグラ・マグラ』で書かれていた、「胎児の夢」(個体発生は系統発生を繰り返す)でした。エルンスト・ヘッケルの「反復説」と重なります。
本書の秀逸は、胎児の顔をスケッチしたところでしょう。本書は、おおよそですが著者の研究過程をふまえた時間の流れにそって書かれています。鶏卵で研究 し、どうしても人間の胎児で確認したい、となってきます。最後には、胎児の顔を確認することで、個体発生が進化の過程と重なっているかを調べることとなり ます。『2001年宇宙の旅』の最後に出てくる例の図柄です。
けれども、胎児の顔は胸の中に屈曲してしまっているため確認ができず。さて、それからどうしたのか。なかなか感動的なところでした。
【追記】
三木成夫さんの胎児の顔についての基本書はこれでしょう。最初に知ることになったきっかけは 中野翠さんの [NO.355] よろしく青空 からでした。それからいろいろ。
っというわけで、既読関連書リンク一覧です。
・ [NO.355] よろしく青空
・ [NO.368] 唯臓論
・ [NO.374] 小説新潮/第59巻 第10号/平成17年10月1日発行
・ [NO.393] 海・呼吸・古代形象
・ [NO.801] 生物のかたち/UP選書
・ [NO.1295] 内蔵のはたらきと子どものこころ
・ [NO.1296] 顔の科学
・ [NO.1300] 人間生命の誕生
・ [NO.1301] 生命の記憶
・ 本の雑誌2020年11月号 特集=出版で大切なことはすべてマンガで学んだ!
・ [NO.1551] 「顔」の進化 https://nichijyo.mydns.jp/2021/04/no1551.html
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