顔の科学/生命進化を顔で見る 西原克成 日本教文社 平成8年5月1日 初版発行 平成9年7月5日 三版発行 |
三木成夫関連から。
p4
●生命の形態学
ところが意外なことに、すでに三〇年前に、この力学的世界観にもとづいて、ヘッケルの生命発生原則を、脈菅系の個体発生と系統発生との比較によって、みごとに検証していた形態学者がわが国にいたのである。
東京芸術大学教授であった故・三木成夫(解剖学)である。三木は、医学を修める前に工学を学び、当時最先端の科学であった航空工学を学んでいた。
三木が芸大の講義録として遺した膨大なシェーマ(図解)の中には、ルー、ヘッケル、ゲーテ、ラマルク、キュヴィエ、リンネの系譜がすっぽりと納まっていたのである。
本書は、三木成夫の「生命の形態学」にならって書き進めたものである。
著者の私見であろうが、「勾玉(まがたま)」について、以下の記述があった。
p8
さいわい、日本人は、かつて生命の本質である魂が何にゆらいしているかを直感的に知っていたらしい。ヘッケルが気づく2000年も前から、彼の生物発生原則の源となった胎児を模した勾玉を、いのちと魂の象徴として、わが国では、代々高祖皇宗の守り神として受け継いで今日に至っているからである。
あやしい方面へ飛躍せねばいいが。
勾玉については、p152で生命のシンボルとして記述有り。掲載されている勾玉のカラー写真を見ると、たしかにそれらしく見えてくる。へその緒までついているという。
あとがきによれば、著者は三木成夫の講義を受けたたらしい。
p205
本書の考えは、三十四年前の三木成夫の、後に「生命の形態学」と呼ばれた解剖学の扇に源を発するものであり最初に受けた衝撃と感動感銘を、今日まで忘れることなく、顔と口に着目しつつ、医学・生物学の再構築を続けてきた結果たどりついた最初の一里塚のようなものがこの本であります。
巻末、「参考文献(専門文献は省略)」あり。また、「本書で述べた研究は、文部科学省研究費で行った以下の各種研究をまとめたものである。」として、6項目を挙げている。
通史の解説から始まっている。重力の影響の部分、なるほどと思う。三木成夫の考えから、著者オリジナルの考察が述べられているところ、本当だろうか、と思ってしまうところもある。
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