| 成瀬は都を駆け抜ける 宮島未奈 新潮社 2025年12月01日 発行2026年01月15日 5刷 231頁 |
成瀬シリーズの3冊目。「やすらぎハムエッグ」が『小説新潮』(2024年5月号)に掲載されたのを読んでから、2年も経っていました。
2年前に思いついた、「成瀬あかり=触媒」説 に当てはめると、今回も同系列のパターンに当てはまります。まず、困りごと(悩みやトラブル)を抱えている人物が登場し、そこに我らが成瀬あかりが出会うことで、困りごとが解決に向かって動き出す、といったところかな。
これまで2冊との違いは、これが一応の成瀬シリーズの区切りであること。そこで、これまでの1作目・2作目の登場人物や出来事がさりげなく提示され、愛読者のマニア心をくすぐってきます。うんうん、そうだそうだ、オレはちゃあんと気づいているぞ! というドーダ! と思わせられるところが透けて見えました。最後の章「琵琶湖の水は絶えずして」になると、もはや伏線の連続。
作者宮島未奈さんの X。(旧ツイッター)に、本書『成瀬は都を駆け抜ける』の手書きもくじが掲載されています。ご丁寧にも、「各視点人物が書きそうな字とイメージが合った人に書いてもら」ったのだそうです。リンク、こちら
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新潮社サイトに大森望さんの書評があります。リンク、こちら https://www.shinchosha.co.jp/book/354953/
さすが大森望さんだなと思ったのが、「このシリーズの最大の特徴は(独特の口調も含めて)個性的すぎる成瀬のキャラクターにあるが、もうひとつは、出発点となった「ありがとう西武大津店」の題名が示す通り、実在の場所を舞台に、実在の固有名詞をそのまま使って書かれていることだろう。」という指摘。
みうらじゅんだの漫才のアンタッチャブル、漫画『ちはやふる』などなど。
けれども、もっと鋭い指摘だと思ったのが、「活躍を続けるうちに成瀬の(作中での)知名度が上がっていくのも大変リアルで、初対面の作中人物も素早くスマホで成瀬の名前を検索して彼女の輝かしいキャリアをすぐさま読者と共有する。名探偵もののシリーズなどを読んでいると、「これだけ活躍してればすごい有名人になってるだろうな」と思うことが多いが、スマホで検索されるみたいなシーンはめったに出てこない。その点、成瀬は2025年現在の日本に(読者とともに)ちゃんと生きている。」というところ。
なにしろ、わたしは本当に2025年の紅白歌合戦に成瀬がけん玉を握って登場しやしないかと、1秒の何分の一かは想像していたくらいですから。
成瀬は2025年現在の日本に(読者とともに)ちゃんと生きている
まったく、そのとおりでした。こんなキャラ、ほかにいないだろ? ってCMパロディになりそう。
