
その昔、ビートたけしが言ってたことに、「オタクって言い方をこのごろよく聞くけどさ。昔の職人なんてのは、みんなオタクだったんじゃないかって思うよ。おれのおやじはペンキ職人だったけども、自分のやっていた仕事については一生懸命なところがあったもん。ふだんは酒ばっかり飲んでいたけどね。ペンキの色の配合とかさ、そりゃあ熱心だったと思うよ。」「そんな意味合いで言っちゃえば、おれの兄貴が学者やってるけど、学者だってオタクの最たるものだよなあ。自分の好きなことに向かって、研究とかさ、ずーっとやってるわけだろ?」なんてのがありました。
一般に、自分の好きなことを職業にすることはむずかしいものだと言われます。どうせなら、2番目あたりに好きなことを選ぶといいんじゃないかとも聞いたことがあります。高齢者のこれまでの体験から言えることは、嫌いなことは仕事にできないかもしれないけれど、苦手なことだったらまだなんとかなるんじゃないかな、なんてね。
3人には仕事に就くことに紆余曲折があったといいます。好きなことを仕事にするには、覚悟がいります。でも、へこたれてなんかいられない。まるで幼い子どものようです。ただし、自覚的に対応したりというところは、さすが。
出版社サイトから
「エピソードがおもしろくて読みやすい!」と話題の"考古学"エッセイシリーズ第3弾
本書に登場する考古学者、言語学者の3名は、年齢も研究対象もばらばらですが、共通しているのは「学問を超えて、古代文字の魅力に取り憑かれてしまった」こと。
取り上げられるエピソードのどれもが面白いというのに賛成。
基本的に研究対象が古代文字ってことは、言い換えれば古代文字の習得は、外国語習得の延長であるとも言えます。その外国語が苦手だった身にとっては、思い出したくない、嫌な記憶がよみがえってしまいました。本書に登場する3人は、どなたも外国語好きです。
ほかには、3人とも手書きを重視しているところも似てました。万年筆を愛用していたり。

東京海上ダイレクト のテレビCMが聞き取れません。
テレビCM 東京海上ダイレクト の最初に聞こえる短い女性の声のところ。英語っぽい発音で『トウキォ ●●』。
気になり出すと、やたらと耳に付いてしまって離れません。
| 正しくは トウキョウ、マリーン だっていうのですが、とてもそうは聞こえない。 |
| どうしたって、トウキォ、リーン(ク) か トウキォ、ウィーン(ク) でしょう。 |
英語みたいな発音で日本語の歌詞を歌うのがありますが、それと同じでしょうか。
とても聞き取れません。
高齢者には、ただでさえ早口はついていけないのです。
英語に堪能なら、聞こえるのでしょうか? ネイティブは m を発音しないとか。
トウキォ、(ム)ァリーン
あれッ? これなら聞こえそうかも!
◆ ◆
これって、サウンドロゴというそうです。
最初に映し出される会社の名前 東京海上ダイレクト 東京海上グループ の手前のところ、会社のマーク(ロゴ)とアルファベットが並んでます。

これを見ると TOKIO MARINE DIRECT |
旧東京海上日動 のときには TOKIO MARINE NICHIDO |
っということで、正解は『トウキョウ、マリーン』だっていうのですが。
でよろしかったでしょうか?(笑)

見仏記 三十三年後の約束
二〇二五年、三月三日。
私は待ち合わせ時間の二〇分ほど前に東京駅に着き、新幹線改札を入った先にある待合室の椅子に腰をおろした。ホームへ上がったところで、乗車する便はまだ入ってきていないか、清掃中に決まっていた。
しかしそれでも同じような時刻にみうらさんがホームにいることを、つい先日も私のマネージャーから聞き及んでいた。みうらさんは近頃よく持っているトランクをがらがらさせつつ、もう一方の手に弁当の入ったレジ袋を提げているに違いなかった。その体勢でみうらさんは目当ての新幹線の扉が開くのをじっと待っているのだ。
我々はどちらも旅が楽しみで仕方がなかった。だから我々はどちらも指定時間よりよほど早く東京駅で待機する(かつては「銀の鈴」で待ち合わせた数年もあった)。
ただし開きもしないドアをじっと見つめて立つみうらさんと、とりあえず新幹線ホームの近くまで来ておいて座って待つ私とでは、行動原理が違った。この違いはなかなかに重要で、いわば遅刻の不安を忌避するやりかたの好みとか、体力の使い方とか、相手への気遣いのそれぞれのありよう(「来てたら悪いな」なのか、「来てないふりをしておこう」なのか)なのだが、一致しているのはどちらも相手に自分の流儀を強要しないことだった。
そのおかげで三十三年間、二人はひたすら雑談を続け、同時に仏像を見つめて続ける旅を行ってきたのだ。
「そう、三十三年」
私は待合室にいながら何度もその数字を頭の奥で反復した。
この描写を踏まえておいて、次を読むと格別です。(実際の時間は前後していますが)。
待合室にいながらも、見仏の相棒が何をしているか、私は手にとるように想像できた。
たぶんずいぶん早くに起床してしまって家を出、東京駅構内で時間をかけて駅弁を買い、乗車予定の新幹線はまだ当分来ないのにそれをホームにある待合室できょろきょろしながら待ち受け、ひょっとすると速めに着いた車体に乗り込んで、大急ぎで弁当をかっこみ、すました顔でまたきょろきょろ、今度は席から外を見ているのである。
絶対にそうだ。
私にはわかる。
正確には三十二年、そうしてきたのだから。
やがて発車十分前、私はみうらさんをじらすのをやめて立ち上がり、ひかり633号が来るはずのホームへと移動した。エスカレーターを上がっていくと、すでに新幹線は来ていた。
そしてチケットの示す席を目指していく私の目の前には、想像と寸分も違(たが)わない洒落(しゃれ)たソフト帽をかぶんたヒゲ面のみうらじゅんがホーム寄りの席にいて、こぼれるような笑みを浮かべた顔をガラスにつけんばかりにして遠くからこちらを見ながら、うれしそうに手を振っているのがわかった。
彼の目の前の車内テーブルには、すでに食べ終えた弁当の殻が置いてあった。
これを書いているあいだ、さぞ楽しかったのではなかったでしょうか。最後の着地点フレーズ〈彼の目の前の車内テーブルには、すでに食べ終えた弁当の殻が置いてあった。〉に向けて、あざといほどに比喩を効かせた描写と説明がたたみ込みます。
その読ませる文章についページを繰る手が進みました。
三宅香帆著『文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?』なんて本が売れているそうですが。いとうせいこうさんの書く文章は、うまいでのすよね。ついひきこまれます。
◆ ◆
書籍としての構成が秀逸なのは、表紙(これだけでもう、十分にキャッチーなんですが)をめくると目に飛び込んでくる内扉見開きのパノラマのような絵巻物風写真です。
アノ三十三間堂前の庭を埋め尽くす大勢を前に、有名な長い廊下を左右に分かれて立つみうらじゅんといとうせいこう(こちらはすでに歩き始めている)。このあたりの事情は、説明を読めば読むほど納得します。
ほぼ全員が両手を掲げて手にしたスマホで撮影している様子は壮観。
KADOKAWAオフォシャルサイト 内に「試し読みをする」ページがあって、剛毅なことに30頁も公開されています。リンク、こちら
三十三間堂のシーンは、さらにYouTubeやInstagramの動画でも見られました。さすが。



近所のショッピングモールにある大手書店で購入しました。久しぶりに見る和田誠さんのカバーがなつかしい。
本書は、そもそも先月、この書店で発見しました。ながらく絶版だったものです。びっくりしました。復刊されていたのですね。早川書房の創立80周年記念復刊フェアで選ばれたとのこと。
これまで古書価も値上がりしていただけに、「こいつはめでたいぞ」と喜びつつも、Amazonであとから買えばいいやとそのままにしていました。
思えば20年以上も昔、カート・ヴォネガット(・ジュニア)の本は大量に処分しています。おそらくこの手のものは、欲しくなったときには、いつだって入手可能だろうと(その当時)考えたのでした。ところがどっこい、それは安易な考えでした。
『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』など代表作が新刊で買えるのに、『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』は絶版になってしまったのです。
もちろん古書でも、おいそれとは手が出せません。絶版にともなって古書価も値上がりです。当然のことですが、『タイタンの妖女』『猫のゆりかご』『スローターハウス5』は古書価でも入手可能、それもお手軽価格です。
はたして絶版に至るまでには、いったいどんな経緯があったのでしょうか。
そうして考えたのでした。
こいつは今のうちに買っておかないと、またいつ絶版になるか、わからんぞ、と。税込1870円の文庫は高いですけどね。その分、トールサイズのフォントサイズは読みやすいといいかな。

小学生でもわかる世界史 ぴよぴーよ速報 著 朝日新聞出版 2023年12月30日 第1刷発行 2024年08月30日 第7刷発行 367頁 |
Youtubeチャンネル登録者数 100万人、総再生数 1億6千万回突破!
動画を書籍化のために全ページフルカラーで再編集し、本独自のさらなる解説を加えて本にしました
だそうです。
件(くだん)の Youtube 動画「ぴよぴーよ速報」のリンクも紹介されていました。リンク、こちら
ちなみに、『小学生でもわかる世界史』以外にも膨大な動画アーカイブスがみられます。
本書の対象者は何歳くらいを想定しているのでしょうか?
おやっと思ったことがひとつありました。
ぶ厚い本書は親切なことに「ふりがな」が振ってあります。その範囲たるや「目次」や「この本の読み方」「注意書き」にまで及びます。Amazonの本書のページには「サンプルを読む」なるリンクが張ってあって、本文が16ページも公開されているので、ぜひ一読することをお勧めします。もちろん「目次」や「この本の読み方」「注意書き」も見られます。
ところが、「はじめに」というページは公開されていませんでした。気になることに「はじめに」には、ふりがなが一切振ってないのです。「冒涜」なんて文言には、ぜひふりがなが欲しいものです。以下に引用します。
「はじめに」
歴史を「暗記科目」などと形容することがある。
年号や用語の暗記などのおままごとで歴史を済ませることがある。
しかしそこでは実際に、親が子を殺し、子が親を殺し、自分の一族の皆殺しを避けるために敵の一族を皆殺しにするような生き血したたる世界観が繰り広げられている。
やれ用語の暗記や年号の暗記で済ませて歴史を知った気になったしまうということは流れた血に対する冒涜である。
歴史は脳ではなく骨肉で味わえ。
◆ ◆
「ペルシア戦争」についての見出し
中東のヤバイほどでかい国との戦争 紀元前500年~紀元前450年らへん
「アケメネス朝ペルシア王/ダレイオス1世」のイラストから出ている吹き出しのせりふ
あ~、ちょっと
ヨーロッパボコしてえな
紀元前450年らへん とか ヨーロッパボコしてえな という活字を目にすると、びっくりでした。
◆ ◆
「アヘン戦争」の見出し
ヤバイクスリのアヘンをめぐって戦争勃発 1800年~1840年
(清の政府がアヘンを取り締まりを始めると、)イギリスは清に対してこう言いました。
おい、てめえ
なに勝手にアヘン取り締まってんだよ、ボコすぞ、コラ
まるで韜晦なんじゃないかという印象すらおぼえます。巻末の参考文献の分量たるや......。書店で平積みされるのも、うなずけます。
【追記】
上記「ところが、「はじめに」というページは公開されていませんでした。」を訂正します。朝日新聞出版サイトに「立ち読み」なるリンクがあって、そこに公開されていました。リンク、こちら