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TVドラマ『孤独のグルメ』主人公の井之頭五郎さんが食事をするシーンで、割り箸の先を必ず(左手の)指先でつまむのです。

気にして見ていると、箸を使う店では毎回欠かさずやります。いったん気になり出すときりがなくなります。それのどこが悪いのかと言われても、個人の受け止め方ですとしか言い様がありません。まあ自分の食べる分だというなら、まったくもって、そのとおりです。けれども、まぎれもなく不衛生であることには、かわりありません。

たとえば、フォークやスプーンの先をぎゅっとにぎる人がいるでしょうか。さあ、これから食べますよ、というときにです。

割り箸を割る前から、すでに左手で箸先をつまんでいることすらありました。

五郎さんの癖なのでしょうか。もしかすると、俳優松重豊さんの癖だったりして?

この人、食事前に手洗いはしていません。店によってはお手拭きが用意されていますが、割り箸タイプの店では、あまり見かけません。

これって、コロナ禍でもやっていたのではないでしょうか。口に入れる箸先を、(あえて)つまむ必要はありません。あの頃は、わざわざ入店時にアルコール消毒をしていたのです。

孤独のグルメ全話イッキ見!【過去作一挙放送・Season10】から4話分を抜粋してみたのが冒頭の4枚です。下の5枚は第5話からの抜粋です。

第1話相模原市橋本の回
第3話横浜市桜木町の回
第5話柏市鷲野谷の回
第6話下呂市の回

箸を割る前(1枚目)と割った後(3枚目)といただきますの合掌後(5枚目)の3回とも箸先をつまみます

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ちょうど夕べ、この本の最後を読み終えたところでした。

本を読めなくなった人たち/コスパとテキストメディアをめぐる現在形/中公新書ラクレ 861
稲田豊史
中央公論新社
2026年02月10日 発行
291頁

今朝、ヤフーニュース(無料版)をながめていると、この本の著者稲田豊史さんが書いた記事(「ダイヤモンド・オンライン」からの転載)をたまたま見つけました。「なぜ新聞は売れなくなったのか?実はCDアルバムと同じ理由だった」は、この本に書かれていたのと重複します。

ヤフーニュースのもと記事はこちらです。

なぜ新聞は売れなくなったのか?実はCDアルバムと同じ理由だった
稲田豊史:ライター、編集者
社会「それ」って「あれ」じゃないですか?
2026年3月5日 8:30
ダイヤモンド・オンライン リンク、こちら

ちなみにCDが売れなくなった理由は、サブスクが普及したから。CDよりもはるかに安い値段で、手軽に何万という音楽が聴けるのだから、それでいい。

CDアルバムは本来、ジャケットのアートワークや曲順設計やブックレットの解説文なども含め、世界観を表現する「文化的な作品」でした。しかし、それはコアなファンにとっての話です。多くの人は安く聴ければよかったわけだし、多くの曲が持ち運べて保管に場所も取らない。

新聞の場合は、ニュースなんてネットから無料で読めるじゃないか。それで十分だろう。今さら有料なんてあり得ない。

ここには反論もあるだろう。新聞には単なるニュース以外に、骨太な論説や論考、丁寧な調査記事や味のあるコラム、読者投稿、文化面の特集記事など、ネットでは無料で読めない読み物もたくさん載っているではないか、と。

(しかし、)多くの人は、社会生活を送るうえで「知っておかなければ恥をかくニュース」を押さえておくために新聞を取っていただけであって、それ以外の記事などろくに読んでいなかった。

 だからこそ、ネットでニュースだけが無料で供給されると知るや、日常的にインターネットに触れている人から順にニュース供給元として新聞を選ばなくなり、無駄な出費を抑えたにすぎない。

「新聞」と「CD」の売れなくなった理由をまとめると

「必要最低限の社会適応装置」にしか金を払わない
 多くの人は「教養」や「文化」にではなく、「必要最低限の社会適応装置」にしか金を払わない。筆者も含む書き手やメディアの人間は、この身も蓋もない残酷な事実を認める必要がある。

 ◆ ◆

次の一文に納得しました。

(ネット配信の便利な例につづけて)しかしそれらを踏まえても、物理メディアという「モノ」でしか供給されない文化的な諸要素が、思いのほか多くの人にとって「なくても支障はなかった」という残酷な事実には――骨太な読み物記事を心血注いで執筆する新聞記者と同様に――かつて多くのアーティストがショックを受けたのではないだろうか。

つまり、物書きってえのは、先に苦労を味わったアーティストさんに学べってことか。いや苦しみをともに分かち合えってか? そこまでは著者は言ってないけれども。

【追記】2026.03.08
東洋経済オンラインの記事「話題の本 著者に聞く」で本書『本を読めなくなった人たち』が取り上げられました。著者稲田豊史氏へのインタビューが読めます。リンク、こちら

[NO.1684] 嘘と正典

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嘘と正典
小川哲
早川書房
2019年09月20日 印刷
2019年09月25日 発行
283頁

小川哲さんの小説を読むのは本作が初作品。『地図と拳』も『火星の女王』も気になりながら、これまで読んでいませんでした。

『本の雑誌 2026年3月号』のなかで藤岡みなみさんが『嘘と正典』を紹介していたのが本作を読んだきっかけです。『マイナスゼロ』『リプレイ』などとならべて紹介しています。『夏への扉』『ゲイルズバーグの春を愛す』などの定番とは違って、目新しく新鮮でした。

内容説明
零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。

紀伊國屋書店サイトから リンク、こちら

早川書房サイトの紹介フレーズが面白し。リンク、こちら
圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集。

ここでひとつ疑問がわきました。「日本SFと世界文学を接続する」って、どなたが考案したものなのでしょうか。ここでポイントは、どうして「日本SF」に対応するのが「世界SF」ではなく「世界文学」なのかということです。日本国内では「文学」たり得なくとも、国際的には「(世界)文学」であるぞ、ということでよろしかったでしょうか。
そうだとするなら、やりますねえ早川書房! と応援したくなります。いえいえ、なによりも小川哲さんをまずは応援すべきでした。

 ◆ ◆

著者にとって、初の短編集ということもあってなのか、あえて6つの作品形態が異なります。読者に向けて、これでドーダ! って力がこもっている(という印象)。
共通しているのは、どれもが「思考実験」であること。たとえば量子力学などの物理問題を思い浮かべるとよさそう。「シュレジンガーの猫」の例とか。

6作品の中でのいち推しは、表題にもなった「嘘と正典」。インパクト大の表紙マルクス顔面写真が秀逸です。これがもしもエンゲルスだったら......。この作品だけが書き下ろしなんですね。
そもそもが、「クック・アンド・ホイートストン式電信の技師だったサミュエル・ストークスは、」なんて固有の名称が冒頭から無造作にポンと置かれてしまっては、マニアックな読者が飛びつくに決まっています。こういうつかみが小川哲さんの特徴なんでしょう。

 ◆ ◆

https://nichijyo.mydns.jp/2025/10/31/tutuku.jpg

【疑問点】(重箱の隅つつくの助)
「ムジカ・ムンダーナ」
主人公の自宅は東京のどこ?(どうして厚木PAなのか)

短編の4作目「ムジカ・ムンダーナ」の前半部、仕事先から主人公が自宅に向かって高速道路を運転中の場面。道路は関越とあります。

P.124 夕方の関越は空いていたが、

すると、その関越道から圏央道に入るのだそうです。

P.126 トイレに行くために圏央道に入り厚木PAに寄る。

不思議です。関越から圏央道なら、分岐は鶴ヶ島JCT経由でしょう。そこからトイレのために、どうしてわざわざ厚木PAなのでしょうか。その手前の狭山PAにだってトイレはあります。しかもその車は20数年もののカローラ。燃費は悪いし加速も遅い。ハンドルは宇宙船のハッチみたいに重い。

もしかすると、自宅は神奈川(川崎とか)なのでしょうか。いいえ、違います。

P.131 カーナビ代わりに起動していたスマホのアプリが、東京都に入ったことを告げた。

やっぱり東京都でした。自宅は町田あたりでしょうか? 当然のことながら、圏央道から東名に入ったんですよね。

P.132 高速を降り、赤信号で停車したときに、僕はカセットプレーヤーをネットで購入した。

ここでやっと高速から降りました。いったいどこの降り口なのでしょう。

◆もしかして、最初に記述のあった「関越」ではなくて、「中央道」の取り違えだったとか?

◆重箱の隅の隅をつつくとすると、赤信号で停車したとき、ネットで購入するというのはマズくない? 今の時代は、すぐにコンプライアンスがどうとか言われる時代ですから。
(スマホ操作時は)路肩に駐停車しなくてもいいんか! とかね。

みみっちいミスをちまちまあげつらっているのではなく、校正は正しく機能していますよね? ということが気になるのです。小説という絵空事だけに、神は細部に宿りたまふのではないかと。

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大江戸坂道探訪/東京の坂にひそむ謎と不思議に迫る/朝日文庫
山野勝 著
朝日新聞出版
2014年06月30日 第1刷発行

「帯」から引用
江戸の情緒溢れる坂道の宝庫、東京。
坂道歩きに欠かせない一冊。
会長の坂道〝愛〟が詰まっています。
日本坂道学会副会長
タモリ

出版社サイトに「立ち読み」リンク、あり。サイトリンク、こちら

楽天の試し読みサイトでは9ページ読めます。目次があるので便利。リンク、こちら

手書きの地図が親切につけてあるのですが、Googleマップをスマホで利用するので、戸惑うこと多し。
上記2サイトではこの本書の売りであろう手書き地図が見られません。アマゾンの本書ページにありました。ページ内左側に書影画像が出ているなか、「2+」のところをリンクすると2種類の手書き地図が見られました。リンク、こちら

 ◆ ◆

巻末のタモリさんの解説、意外なことに文章が、書き慣れていないみたいで新鮮でした。へーえって感じ。きっと自分で書いたんだろうなと想像しました。

出版から10年以上も経っているので、現状とは違っているところもありそう。

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「本の雑誌」2025年11月 栗餅危機一髪号 No.509 特集世界の文学賞を目指せ!

「特集:世界の文学賞を目指せ!」は、翻訳ものの小説が年々手に入りにくくなっている気がしていただけに、楽しみでした。

『ババヤガの夜』でダガー賞を受賞した王谷晶さんへのインタビューも載っています。

「世界の文学賞リスト」が秀逸。


 ◆ ◆


P.44
『コンパートメントNo.6』(ロサ・リクソム著/みすず書房)
評者の今月一推し。フィンランド文学なんだそう。フィンランディア賞受賞、十三ヵ国語に翻訳され、映画化もされているとのこと。アマゾンプライムビデオでレンタルが見つかる。

新刊めったくたガイド
●橋本輝幸


P.46
『百年文通』(伴名練著/早川書房)
人気の高い時間SFの中でも特に好まれるのが時代差(時間差)ロマンス。『百年文通』は、中でも名作中の名作とされるフィニイ「愛の手紙」に正面から挑む百合SF。(途中略)
140頁の小説本文に加え、〝時間SF入門〟的なあとがき14頁と、2010年以降の国内小説20作を紹介する「時間SFガイド20」10頁が附属する。
新刊めったくたガイド
●大森望

今月の大森望さん一推しの上、これだけのことを紹介されちまっては、そりゃあ読まずばなるまい。