[NO.1327] 百歳までの読書術

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百歳までの読書術
津野海太郎
本の雑誌社
2015年7月24日 初版第1刷発行

昨年の暮れから読んだ本の中でもっとも当たり。数日前から寝る前にちょびちょび読んでいたのだが、昨晩はつい1時過ぎまで読みふけってしまった。すると、明け方3時半ころ、全身寝汗びっしょりで目が覚めた。これはすぐ着替えなくては風邪をひくぞ、と下着からパジャマまですべて着替えた。どうやら本書の毒気に当てられてしまったのかもしれない。

終わりの方まで読み進む中、これは読んだことがあったな、と気づく。『本の雑誌』に連載していたときに2回分を読んでいたようだ。

文体も面白い。文末はまるで「小沢昭一的こころ」のごとし。

■ ■ ■

最初に『成城だより』大岡昇平著と『正宗白鳥全集』福武書店版の話が出てくる。ここで、大岡昇平著と正宗白鳥の二人の比較が面白い。

p13
大岡はもともと新しいもの好きの濫読派なので、レイプ裁判とか、ルイーズ・ブルックスとか、『地獄の黙示録』研究とか、富士山の歴史とか、数学的世界観とか、あいかわらず、こまめに新しいテーマを発見しては、本や資料をかきあつめてベッドに持ちこむのをやめない。
白鳥は白鳥で、濫読という点ではおなじだが、読みのこしの古典(たとえばギリシャ悲劇)を生きているあいだにできるだけ読んでしまおうというような、いかにも明治生まれの秀才らしい教養主義的読書の習慣をどこまでもつらぬく。

吉田秀和のことも出てくる。そして、早速章末に次の記述。

(追記)吉田秀和氏はこの稿を書いた半年ほどのち、二○一二年九月に没した。享年九十八。いま最後のころの文章を読むと、おやおや、行文に多少の乱れがあるぞ。


[NO.1361] 百歳までの読書術
    投稿日:2017年7月15日

何度読みなおしたかわからないくらい、近年での愛読書。それなのに自サイト内を検索しても、タイトル以外、記録がない。調べ方が悪いのか。で、今さら入力している次第。

検索時にミスをしたらしい。後日、確認すると、きちんとヒットするし、表示もされる。野口悠紀雄のいう「こうもり問題」が気になるので、[NO.1361] 版の内容をここに統合コピペして、投稿記事 [NO.1361] は削除することに。

名語録、名フレーズが数々ある本書。

p128
もの忘れは固有名詞にはじまるとよくいう。つぎが普通名詞。さらに形容詞へとつづいて、動詞にいたるあたりで人生の幕が降りる。

つまるところ、老人の読書がテーマ。したがって、老化と読書の二大テーマを柱として、著者の日常が紹介される。30年くらい前の我が愛読書、大岡昇平『成城だより』、他に正宗白鳥や唐木順三等々、面白くて仕方がない。

著者日常読書、

p178
そこから発作的にヴォネガットの著作の集中的再読がはじまる。いまもそれがつづいている。

「いまもつづいている」というのがおかしい。

蔵書とのつきあい方、処分については、もはや言及できない。

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