蔵書の苦しみ/光文社新書 岡崎武志 光文社 2013年7月20日 初版第1刷発行 |
「あとがき」によれば、「二○○七年に光文社新書から刊行された『読書の腕前』に続く、「本」ばなしの第二弾」。
昔から「書斎」関連の本を集めていた。写真が掲載されていれば、多少高価であっても無理して購入した。しかし、それらも処分してしまった。これ以上、自分の蔵書が増えないようにするためには、まずそんな書斎の写真なんぞを眺められないようにするしかない、という苦渋の決断による。(笑)
本書には蔵書があふれていたり、きちんと整理してあったりする書架の写真も掲載されているが、何より「蔵書関連」の本が紹介されていることに目を奪われた。以下、幾つか抜粋する。
p55 現代新書編集部編『書斎 創造空間の設計』(講談社現代新書)
p60 草森紳一『随筆 本が崩れる』(文春新書)
p172 長山靖生『おたくの本懐「集める」ことの叡智と冒険』(ちくま文庫)
「「自炊」推進派の詩人」として紹介されている清水哲男氏のiPad活用はちょっと惹かれた。増殖する本をなんとかするためには、これも一つの方法だろう。ダイニングキッチンにある頑丈で立派な本棚に並べるられる本は、奥さんから見て立派な本というところがいい。
「なんでもここへ入るでしょう。そして好きなときに取り出せる。私にとって、これ(iPad)は小学生にとってのランドセルみたいなもの」というのは魅力的だ。目が悪い人には、文字が自在に拡大できる、というところもいい。
草森紳一氏については、『NO.1327 百歳までの読書術』にも出ていた。草森氏の亡くなったときの様子がなんともはや。本に埋もれ、すぐには発見されなかったとか。市川の家で亡くなった荷風散人を想起する。本云々は異なるが、老人の孤独死という点では同じ。
いつぞや草森氏の北海道にあるご実家の書庫をTVで見たことがある。弟さんが守っている家の敷地内に建っている風変わりな建物だった。蔵書の数は半端なく多かった。おやっと思ったのは、弟さんのコメントがなんだか突き放したような言い方だった。どこかに録画があったはず。
※草森氏の北海道帯広にある書庫「任梟盧」について、言及しているサイトがあるので、リンク。マガジン航[kɔː]
第10回 なぜ人は書庫を作ってまで本を持ちたがるのか
最後に触れている「図書館」について。しばらく前から、これしかないと感じている。蔵書を増やさないためには、他に方法がないのだ。ただし、記録をきちんととっておかないと、二度と同じ本へアクセスができなくなってしまうという困ったことが生じる。最低でもタイトル、著者名、出版社名さえわかっていれば、なんとかなる。さらにいえば、サイト「日本の古本屋」で検索をかけて見つかれば購入することだって可能だろう。
付箋紙を貼ったり傍線を引けないことが困る。そこで、抜粋(どのページかも)が必要になってくる。
抜粋はサイトで公開してしまうと、今度は著作権問題に波及してしまうので、これは見えないページに格納することになる。このあたりのことをしっかりやっておけば、電子データとして検索も可能になるので、大変便利だ。
p199 小田光雄『図書館逍遙』(編書房)
もちろん、自分の蔵書と紛れないためにも借りている書名の記録も大切。これをしっかりやっておけば、以前に借りたことのあるのかどうか、検索をかけるとすぐにわかる。ときどき、図書館の書架でスマホから自分のサイトへアクセスし、確認することがある(笑)。
コメント