[NO.553] 星を継ぐもの/創元SF文庫 ジェイムズ・P・ホーガン 池央耿 訳 東京創元社 |
記憶力がよろしくないというのは、こういう場合には役に立つ? といってよろしいのかどうか。笑い話だ。
この正月、『星を継ぐもの』を再再読した。これまでに記録として残してあるだけでも、すでに2回は読んでいる(はず)。あらすじはほとんど記憶にない。で、今回読み返してみて、やっぱり楽しい時間を味わうことができた。これって、はたして幸せといっていのだろうか?
【追記】
過去記事を発掘。リンクは下記に。
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うっすらと残っている記憶には、もっと荒っぽいストーリーで、面白くないという感想だったような気がする。ところが、3度目になる今回の読書であっても、じゅうぶんに楽しめた。もちろん、突っ込みどころはいくつかあったけれど、概ね面白かったことに、変わりない。
巻末解説(巨匠鏡明さんが書いていた!)に、
P306
ミステリ専門誌のEQMMで、レヴューが載ったというが、たしかに謎解き小説としても、よくできている。
とあった。こんなこと、すっかり忘れていた。
それにしても、この解説は読みでがあって面白い。さすが鏡明さん。1970年代までのSF史をわかりやすく解説してくれている。それもコンパクトに。なるほどと関心すること、しきり。解説に埋もれてしまうには、もったいない。
1960年代イギリスで起こったニューウェーヴ・ムーヴメントとそこからの揺り戻し? の流れ。興味深かったのがラリー・ニーヴンについての記述だった。
P305
ニーヴンは、結局は、小説を書くのかもしれない。当初のアイディアや科学や技術の存在が、ストーリー展開の中で、急速に輝きを失っていくのを、ニーヴンの長編では、しばしば経験する。ストーリーが、ついに全体を支配していくわけだ。
けれども、ホーガンの作品にあっては、それが逆になる。ときには、五〇年代以前のサイエンス・フィクションを思わせる程だ。
ここにいう五〇年代SFとは、もちろんR・A・ハインライン、アイザック・アシモフ、A・C・クラークたちをいう。そういえば、椎名誠さんも似たようなことを書いていたな。SF小説をガシガシ書いていた頃に。
ニーヴンのリング・ワールドシリーズを初めて読んだとき、そのアイディアにびっくりしたものだが、途中からなんだかつまらなくなってしまい、どうしてもシリーズを読み進めることができなくなった理由が、これで納得した。
解説の終わりに、丁寧なホーガンの著作目録が挙げてあった。ありがたい。しかも、『星を継ぐもの』の続編が2作もあるという。
『ガニメデの優しい巨人』(1978)創元SF文庫
『巨人たちの星』(1981)創元SF文庫
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