[NO.1537] カササギ殺人事件 上下/創元推理文庫

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カササギ殺人事件 上創元推理文庫
アンソニー・ホロヴィッツ
山田蘭 訳
東京創元社
2018年09月28日 初版
2019年01月11日 8版
360頁
カササギ殺人事件 下創元推理文庫
アンソニー・ホロヴィッツ
山田蘭 訳
東京創元社
2018年09月28日 初版
2019年01月11日 8版
382頁

2019年本屋大賞翻訳小説部門第1位だったという。久しぶりの新しめの推理小説だった。出だしで調子がすぐにはつかめずに、しばらく時間がかかる。流れ出してからは、そのまま上下巻ともに読むことができた。

なるほど、いまどきの推理小説はこういう工夫がなされるのか、と感心することしきり。面白かった。

巻末の川出正樹さんによる解説を読み、ますます感心した。いわゆるネタばらしにならない工夫をするためには、このような書き方がいいのだろう。昔の王道推理もの(翻訳の)から、ずいぶん時代が進んだことを実感した気がする。

 ◆ ◆

感想というほどのものでもないが、いくつか覚え書き。(なにしろ有名な作品だから、ネット上では山のように言い尽くされていることだろうし)。

個人的には、クリスティへのオマージュとされている、中に挿入された物語がよかった。下巻になって、いきない現代に話がとんだところからは、どうしても違和感が感じざるを得ない。もったいないけれど。

構想に15年もかかったというが、いちばん最後の解決場面が、いそぎ足すぎるように思えて仕方がない。もったいないというか。そこまでのあれやこれやを、最後にまとめて答えを出すところがバタバタしたような。

作者にとって、ほんとうは、もっとうまくまとめたかったのじゃなかっただろうか、と思えて仕方ない。たとえば、時間が足りなくなったとか、これ以上はページ数を増やせなくなってしまったというような、大人の事情があったとか。考えすぎかもしれないが。

 ◆ ◆

著者のアンソニ・ホロヴィッツさんの本を読むのはもちろん、これが初めて。少年もので有名なのだとか。TVドラマの脚本でも有名だという。いくつかタイトルが挙げてあったが、こちらが知っていたのは『刑事フォイル』だけだった。

正月の番組を見飽きたところで、『刑事フォイル』の古い録画をとびとびで見直した。ほとんど忘れている。


自作を読むなら『メインテーマは殺人』あたり? 


【追記】
原作者アンソニー・ホロヴィッツが脚本を手掛けて、2022年にドラマ化されました。視聴した記事のリンク、こちら