カササギ殺人事件 上/創元推理文庫 アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 訳 東京創元社 2018年09月28日 初版 2019年01月11日 8版 360頁 |
カササギ殺人事件 下/創元推理文庫 アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭 訳 東京創元社 2018年09月28日 初版 2019年01月11日 8版 382頁 |
2019年本屋大賞翻訳小説部門第1位だったという。久しぶりの新しめの推理小説だった。出だしで調子がすぐにはつかめずに、しばらく時間がかかる。流れ出してからは、そのまま上下巻ともに読むことができた。
なるほど、いまどきの推理小説はこういう工夫がなされるのか、と感心することしきり。面白かった。
巻末の川出正樹さんによる解説を読み、ますます感心した。いわゆるネタばらしにならない工夫をするためには、このような書き方がいいのだろう。昔の王道推理もの(翻訳の)から、ずいぶん時代が進んだことを実感した気がする。
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感想というほどのものでもないが、いくつか覚え書き。(なにしろ有名な作品だから、ネット上では山のように言い尽くされていることだろうし)。
個人的には、クリスティへのオマージュとされている、中に挿入された物語がよかった。下巻になって、いきない現代に話がとんだところからは、どうしても違和感が感じざるを得ない。もったいないけれど。
構想に15年もかかったというが、いちばん最後の解決場面が、いそぎ足すぎるように思えて仕方がない。もったいないというか。そこまでのあれやこれやを、最後にまとめて答えを出すところがバタバタしたような。
作者にとって、ほんとうは、もっとうまくまとめたかったのじゃなかっただろうか、と思えて仕方ない。たとえば、時間が足りなくなったとか、これ以上はページ数を増やせなくなってしまったというような、大人の事情があったとか。考えすぎかもしれないが。
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著者のアンソニ・ホロヴィッツさんの本を読むのはもちろん、これが初めて。少年もので有名なのだとか。TVドラマの脚本でも有名だという。いくつかタイトルが挙げてあったが、こちらが知っていたのは『刑事フォイル』だけだった。
正月の番組を見飽きたところで、『刑事フォイル』の古い録画をとびとびで見直した。ほとんど忘れている。
自作を読むなら『メインテーマは殺人』あたり?
【追記】
原作者アンソニー・ホロヴィッツが脚本を手掛けて、2022年にドラマ化されました。視聴した記事のリンク、こちら
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