毒島刑事最後の事件 中里七里 幻冬舎 2020年07月20日 第1刷発行 341頁 |
上手い! きちんと前作『作家刑事毒島』に話がつながるようにできている。もちろん作者の頭の中では、そんなことは前々から構想されていて、それが今、こうして出版され、読者のもとに届けられたというわけなんだろうが。
本書タイトルにある「最後の事件」が、ホームズの「最後の事件」をふまえていることは承知の上で、蛇足を加えると。
ホームズがライヘンバッハの滝にモリアーティ教授ともつれ合いながら落ちた(ことにした)のは、こうするしか解決方法がなかったからだった。(真相は、作者ドイルが連載原稿を書くのが苦痛になったからというのは、ここではおいておくことにして)。そのことに重ねるように、毒島刑事が(今回の事件を)解決させるには、こうするしか他には方法がなかったということにしておいた、ということなのだろう。
そんなこと、いや、それ以上の指摘がネット上には挙げられているのだろうなあ。
今どきのファンサイトは充実しているのだから。
前作『作家刑事毒島』よりも、こちらの方がこなれている気がした。限られた時間設定などの条件が厳しくつくTVドラマになってしまうと、この面白さ、ニュアンスが薄らいでしまいそう。それでも、ドラマ化の話も出ているのだろうなあ。
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