[NO.1534] TOKYO研究所紀行

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TOKYO研究所紀行/TOKYO INTELLIGENT TRIP 02
発行:北原浩/編集:勝山俊光
玄光社
2012年09月01日 発行日
143頁

[NO.1527] TOKYO 図書館紀行 に続いて、TOKYO INTELLIGENT TRIP のシリーズ。

今回のこちら『TOKYO研究所紀行』は表紙カバーの写真がよかった。まるで映画二〇世紀少年 に出てきそうなイメージ。玄光社MOOK なので、カラー写真がどれも目をひく。出版社サイトが充実している。目次(簡略化されている)のページ、リンク、こちら。 詳しい特設サイトもある。リンク、こちら

P5 INTRODUCTION には「研究所を見に行こう!」のタイトル。一読、ぜひ、出向いてみたくなる。数えてみると、4つか5つは行ったことがあった。うろ覚えで記憶がはっきりしないところもある。巻末 P139 「MAP」。紹介された研究所・見学施設・博物館の地図/住所 の一覧がある。その数、全部で28。どれも首都圏近郊。おまけで「つくば市サイエンスMAP」。こちらは全部で39の施設を紹介している。つくば市には、いかにそうした施設が多いかわかる。

各紹介の合間にはコラムがある。
福岡伸一 私が学者になった理由
枝廣淳子 世界を望ましい方向に変えていくために 私たちに必要な5つのこと
べつやくれい 白洋舍洗濯科学研究所へ行ってきた!(絵・文)
瀬名秀明 研究所を見る楽しみ(語り)
福江翼 「生命と宇宙」を巡る、最新研究の話(語り)

有名どころ「国立科学博物館」や「江戸東京博物館」は別にして、大学施設や研究所を紹介しているところがいい。事前予約が必要だったり、団体しか受け入れない施設もあるが、年に1回だけ公開しているなどというところも多い。

理系だけでなく、文系であってもこうした施設はたくさんあるだろう。そうした紹介(できればこのようなムックで)も、出版されないだろうか。『図書館紀行』もそうだが、コンパクトなところがいい。玄光社でネット検索すると、本屋さん、ブックカフェ、既読の図書館紀行は出てきても、文系の研究機関などの公開を紹介しているのは見つからなかった。

傾向は違うが、『TOKYO音カフェ紀行』がいいかな。

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COLUMN 1 私が学者になった理由 で福岡伸一さんが書いている。

P8
少年は、ロボットとか電車とかモデルガンといったメカ系に行くか、それとも虫とかカエルとか魚とかウェット系に行くか、それはもうもの心がつくかつかないうちに決まってしまっているようだ。

当然のことながら、福岡先生は後者だ。これを自分に当てはめてみると、どうやら前者のような気がする。もちろん、白黒つけかねる、グラデーションのようなグレーゾーンがその間には広がっているが。

本書の魅力的な写真でも、メカ系にひかれることが多かった。巻頭にアップで掲載されている「筑波宇宙センター」の H-Ⅱシリーズロケットの燃焼に使われた本物のロケットエンジン(LE-7A、LE-5)のカラー写真に引きつけられた。アポロ計画1段目に使われたサターンV型とか、そのはるか以前にフォン・ブラウンが作ったV1号2号等々。きりもなや。

本書表紙カバーの写真は「KEK 大学共同利用期間法人 高エネルギー加速器研究機構」にある「コッククロフト・ウォルトン型高電圧加速器」なるものだった。へーえ、としかいいようがない。人間の大きさと比較すると、4~5倍は高さがある。

ガチガチのメカだけでなく、古い器具類にも魅力を感じる。作家森博嗣さんが不要になった実験器具類をもらい受け、自宅に置いてあったのがうらやましい。天秤ばかりとか、歯車の模型など。そうした視点からだと、「東京大学 総合研究博物館 小石川分館」が興味深い。本書の「研究分野」というカテゴリーでは「アート&サイエンス」に属するという。なにしろ建物がすでに東京大学医学部の前身・東京医学校本館だし。

P64
陳列されているのは、古い学術標本、教材、実験器具など。それらを収めた棚や机も、学内で古くから使われてきた什器類。

そういえば、別の建物探訪ものの本にも、そんなことが書かれていたような。小石川植物園の中にあったかな。

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ガイドブックシリーズ「TOKYO INTELLIGENT TRIP」には、『TOKYO図書館紀行』『TOKYO研究所紀行』『TOKYO本屋さん紀行』『TOKYOブックカフェ紀行』があります。