購書術/小学館新書 中川右介 小学館 2015年2月7日 初版第1刷発行 |
企画が面白し。編集者にして作家かつ出版社経営者、そして読者という本の"グランドスラム"ゆえに語れる購書術、だそうな。それにしてもよく本を買ってきたようで、雑誌も含めて五十年間に四万冊は買った、とか過去二十年は年に百万円は本代として使ってきたとか。あー、としか言い様がない。
そうなると当然のことながら、蔵書の扱いをどうしているのかということが気になる。そこで本書を手にした次第。
ところで、へーえ、と思ったのが「はじめに」で紹介されていたエピソード。著者は小出版社経営者なので、そこで扱っているクラシック音楽関連の本を演奏会会場で売ることがあるという。また、カメラについての本も出しているので、デパートで開かれる中古カメラ市にも即売しにいくという。そういうところでのお客さんとのやりとりで、「この本はどこで買えるんですか」と聞かれ、もちろん本屋にあるというと、こうした知名度の低い本は大手の本屋に行けば必ず置いてある......というようなレベルの反応ではなく、本当に、「本は本屋で売っている」ことを知らないのだ、という。クラシック音楽会に出向く客や中古カメラ市に集まる客であっても、ほとんどの人は、日常的に本屋という所を訪れていないのである、というのだ。
「本」を集めすぎて、その蔵書の扱いに困っているような人はごく少数だということを認識してもらいたいらしい。この本の読者には考えられないことだろうとして。なんと反応したらいいものやら。
まず、目次が変わっていた。第一章内に14の小見出しがついているが、それぞれにはページが振っていない。あれま。
出版社サイトで一部試し読みができるので、目次も見られる。リンクはこちら。
出だしが「言葉の定義」から始まっている。「本」と「書籍と雑誌」について。「出版社」「版元」、「増刷」「重版」、「取次」「書店」「本屋」。律儀である。
p48 5 アマゾンよりも早く入手する方法がある
リアル書店と連動している紀伊國屋書店、丸善・ジュンク堂書店のサイトでは店頭に在庫があるかどうかを検索できる。あれば取り置きしてもらえるので、店へ直接出向いて買うことができる。
これは自分でも利用した経験があった。どうしても大至急必要な本があったときに新宿紀伊國屋で取り置きしてもらい、すぐに買いに行った。そのときは本当に助かった。
検索時にそこの店のどのフロアのどの棚にあるかまで分かる。
サイト日本の古本屋についても紹介している。たしかに、ここが充実してきた頃、面白いように見つかるので、立て続けに買ったことがある。足で探す必要がなくなった。
アマゾンは本探しに使うという紹介があった。現実に書名を検索すれば、まずヒットするのはアマゾンがほとんどだろう。現在、絶版であっても出てくるのだから。しかも古書も扱っているし。
買い方の紹介ばかりではなく、第二章は本の整理・処分術 。しかし、あまり参考になる内容は見当たらなかった。「2 本を買えば、読書ノートは不要」というのはうなずけた。30年くらい前には購入したい本をABCランクを付けて、専用の手帳に書き留めておいた。中には、探しても見つからない本を何年がかりかで古書店の棚に発見したという嬉しい出来事もあった。しかし、ついぞ読書ノートは続けられていない。京大方式のカードもだめだった。
ネット検索で図書館の本を探せるようになってから、図書館で大量に本を借りるようになった。もちろん、自分の増殖する本を増やさないためにも借りるようにした。すると返却してしまうと忘れてしまうので、記録として抜粋を残すようになった。
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