明治少年懐古

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明治少年懐古/ウェッジ文庫
川上澄生
株式会社ウェッジ
2008年6月30日 第1刷発行

 [NO.784]『東京読書/少々造園的心情による』(坂崎重盛著・晶文社)の中で紹介されていたのでネット注文していたのに、すっかり受け取りに行くのを忘れてました。アマゾンは嫌いなので、セブンアンドワイ。店頭受け取りです。
 一読、いいですねえ。ただし、仮名遣いがどうにも変。巻末によれば手直しもしたのだとか。それにしても。

 巻末、永井龍男氏の文章にも惚れ惚れ。以下引用

 無垢な子供が、ひとりごとを云い乍ら遊んでいる。ひとりごとを云い乍ら、ひとり遊びに余念ない幼児の姿が、そのまま川上澄生の画境であり詩境だと、私は思っている。どの作品からもその楽しさが溢れ出ているが、
以下略

 同じく巻末、「編集附記」から引用、

・『明治少年回顧』は、『少々昔噺』の題で版画荘より刊行(一九三六年)されたものを、改題して明治美術研究所より刊行され(一九四四年)、さらに栃木新聞出版局(一九六七年・『新版明治少年回顧』)、冬至書房(一九七五年・明治美術研究所の復刻)より刊行された。また、川上澄生全集第三巻(一九七八年・中央公論社)および同文庫版三巻(一九八二年)に『少々昔噺』が収録された。他に竜星閣刊(一九五四年)、吾八刊(一九六八年)等の限定版がある。本書は、冬至書房より刊行された明治美術研究所版の復刻版を底本に使用し、適宜全集版を参看した。

 終戦の翌年、永井氏が購入したのは明治美術研究所刊行の1944年版とのこと。
 版画荘から刊行された1936年というのは、昨年復刻版を入手した『猫町』(萩原朔太郎著)が同じ版画荘から出版された翌年のこと。つながりがあったようです。

補足
 そもそも本書のことを知ったのは、ブログ高遠弘美の休み時間・再開(告知板)から。最近興味を抱いている岩本素白氏の本も含め、ウェッジ文庫から出ているとのこと。古書ばかりで新刊書店に足を運ばなくなっているので、ちっとも知りませんでした。
 こうした本も早く買っておかないと、すぐに絶版になってしまうご時世なれば、教えていただき感謝してます。