本の雑誌2022年6月号 特集=結句、西村賢太

honno2206.jpg

本の雑誌2022年6月号 今年の2月に亡くなった西村賢太の追悼号。毎月、日記を連載していた。「特集=結句、西村賢太」としているのが本誌の流儀。巻頭カラーページが見事。藤澤清造全集についてずらっと。藤本義一の名前を実に久しぶりに見た。タイトル「藤澤清造は死なず」、読んでいるとなぜかご本人の声が聞こえてくる。まるで本物の藤本義一が録画の中ででも、この文章を読んでいるかのような幻影を感じた。

「P.48~ ●追悼のことば/さようなら、西村賢太/☆友人・知人・仕事仲間が西村賢太を偲ぶ追悼コメント集」が圧巻だった。まあ、追悼文を寄せるのだから、どのひとも西村賢太もしくはその作品が好きに決まっている。

あえておひとかたを選ぶなら、ちょっと毛色の変わったところで、「P.56 勝井隆則(亀鳴屋)/西村さんの未刊本」。

P.56
 西村さんは、十四、五歳で渡辺啓助の元に出入りしていたくらい、筋金入りの探偵小説好きだが、ある時、大河内常平か朝山蜻一を出したいと水を向けられた。

朝山の方は話が進み、遺族に会いに館林まで二人で出かけたことがあったという。この話の続きもおもしろい。私小説のネタみたい。追悼のことばのトップが喜国雅彦さん「『羅針盤は壊れても』と『本棚探偵』の濃密な関係」。いやはや、探偵小説については日下三蔵「探偵小説通としての西村賢太」という大作があった。

対して、私小説作家へのストライクどまんなかだったのが、楠木建「読み物作家ガイド/破滅への加速/●西村賢太の10作」だった。

 ◆ ◆

P.124
新刊めったくたガイド
アート&デザイン200年の
革命的表現を見よ!
すずきたけし

P.125
役割を終えているといえば灯台である。デイヴィッド・ロス『世界の美しい灯台』(秋山絵里菜訳/原書房3800円)は久々の灯台本である。

うーむ、「灯台本」なる言葉は初めてだ。

【追記】
[NO.1568] 世界の美しい灯台/フォトミュージアム 投稿日:2022年9月 2日 読みました。リンク、こちら 

 ◆ ◆

P.137
●ユーカリの木の陰で
プロスペル・メリメ
◎北村薫

『篠沢フランス文学講義Ⅰ~Ⅴ』篠沢秀夫(大修館書店)は、刊行時、
一一こんな面白い本があるだろうか!
と、舌なめずりして読んだ。ほとんど忘れているのが情けない。

この本、自分でもなんども挑戦している。

 ◆ ◆

P.150
断捨離血風録⑧
いつも納戸でも
=日下三蔵

もはや加速がついたまま疾走状態に入っている。
室内図もついたが、なんといっても毎回の数葉の写真がすごい。
はやくまとまって一冊の本になる日を待ちわびている。

 ◆ ◆

P.156
文芸記者列伝④ 柴田勝衛(時事新報、読売新聞)
文学に踏み止まらない人
=川口則弘

P.156
山本芳明『カネと文学 日本近代文学の経済史』(平成25年3月・新潮選書)を読むと、文士の収入がどのように変遷したのか、いろいろわかって面白い。