愛さずにいられない/北村薫のエッセイ 北村薫 新潮社 2017年03月25日 発行 316頁 再読 |
『読まずにはいられない』『書かずにはいられない』に続く「北村薫のエッセイ」シリーズ3冊目。端正な文章が詰まっている。内容は敬愛する作家への追悼文、幼少時から現在までの本にまつわる思い出、直木賞受賞時の文章類、山本周五郎賞選評、アンケートへの回答、書評類等々。短文の集成、寝る前にちょびちょび読み、幸せに眠った。
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目次
1|懐かしい人 忘られぬ場所
2|言葉と謎と日常
3|謊書 1992-2016
あとがき
作品リスト
初出一覽
北村薫 著作リスト
これだけ見ても、ちっとも目次の役割を果たせない。上にも書いたように、内容は多岐にわたっているのだ。むしろ、巻末「初出一覧」の方が目次の役に立つ。
面白かったのはやはり巻末にある「作品リスト」だった。これがあきれるほどすごかった。本書の各文章に出てきた作品(と作者名)をすべて登場順に列挙してある。読書家の北村氏なだけに、その数は膨大なものになっている。
ついでに触れると、巻末3つめ「北村薫 著作リスト」の次、本書の最後の頁には
編集協力 宮本智子
とある。
これは、國學院大學で民俗学を専攻なさった娘さんなのだろうか。本書にだったか、同時に読み返した『書かずにはいられない』だったかに、北村氏の姓が出てきたので驚いた。学生時代のエピソードの中で、先輩とのやりとりで明記されていた。へーえだった。
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北村氏のこれまでのエッセイで目にしたことのある内容も多かった。はじめて買ってもらった絵本のこと、小中学生で読んだ本、高校・大学時代に出会った本など。それにしても早熟だ。民俗学を専攻してた父親、出版社に努めていた叔母さん、千葉にある母の実家、初めてテレビが家に来てから、それまでラジオで聞いていた落語などなど。
冒頭にある追悼文に出てきた、学生時代に鮎川信夫を訪れた話は初めてだったかもしれない。結構自慢そうなところが微笑ましい。
北村氏は子供の頃の記憶が鮮明に残っている。小さな出来事の数々がたくさんでてくる。面白い。それが読んだ本にも当てはまる。記憶に残っている本について書いていて、その内容が実に克明なのだ。自分の中に充分、咀嚼して受け止めているのだろう。流してしまっている本の方が多いのだろうに。
「~ずにはいられない」シリーズ3部作
・ [NO.1285] 『読まずにはいられない 北村薫のエッセイ』
・ [NO.1324] 『書かずにはいられない 北村薫のエッセイ』
・ [NO.1442] 『愛さずにいられない 北村薫のエッセイ』
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