下流社会/新たな階層集団の出現/光文社新書221 三浦展 光文社 2005年9月20日 初版第1刷発行 2005年1月15日 7刷発行 |
前々から話題になっていたし、本書を引用している本も読んでいたので気になっていた。今回、やっと読めたといったところ。
本書の特徴は分析に徹しているところ。著者の仕事がマーケティングだということで、調査方法も冒頭に提示されている。しかし、それだけに具体的な内容を絞れば絞るほどサンプル数が少なくなっていき、信憑性が怪しくなってしまうところもある。国勢調査では、いったいどんな分析結果がでているのだろう、と気になる。
おおまかな主張では、総中流社会だったのが、上流・中流・下流に分かれてきているという、これまでにいわれている内容。
特に下流に分類される人たちが、自分の個性を尊重しているというところがポイントだろう。自分らしく生きるというフレーズは、ずいぶん広く耳にしてきた。そこから派生して、自分探しなどといういいかたもあった。
その弊害として、「自分にふさわしい仕事が見つからないからフリーター」、という批判もいわれ出してから久しい。
何十年かにわたるような大きなスパンで、潮流のようなものを創り出しているのは、いったいだれなんだ? 数年、いや数ヶ月先しか考えていないといわれる今、長期ビジョンをもって、自分が儲かるために大きな潮流を生み出し、メディアを含め、操作している存在というのはいないのか?
どうしてもマーケティングからの視点だと、消費活動が中心になる。そこから仕事、働くこと、労働観、生き方になる。階層を変えるのは教育である、という観念は抜けきれない。しかも、ここでいう教育とは、例によって学歴という視点から抜けきれてもいない。なるほど。
【著者三浦展の関連書】
・ [NO.1469] 昼は散歩、夜は読書。
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