[NO.1242] ルポ 貧困大国アメリカⅡ/岩波新書(新赤版)1225

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ルポ 貧困大国アメリカⅡ/岩波新書(新赤版)1225
堤未果
岩波書店
2010年1月20日 第1刷発行

わかっていたつもりだったけれど、こうまで具体的に示されると、どうしても滅入ってくる。大学の授業料欲しさに軍へ入隊する若者の姿、やっぱりなと思う。

それにしても、短絡的過ぎないか? メディアによって踊らされているだろうに。

軍隊に勧誘される場面、低所得者対象に持ち家のローンを持ちかける場面、どれをとっても違和感を感じる。まるで新宿の路上などで目にする怪しい勧誘のよう。その姿に幼児性をおぼえてしまう。

前書『ルポ 貧困大国アメリカ』で扱っていた項目、教育、社会保障、医療に加え、刑務所が紹介されている。たしかにアメリカで起きている刑務所の民営化について、以前TVで見た記憶がある。

これまで公共による運営だったものが民営化していくという一連の流れの中で刑務所までもが? という気がしたものだった。その目的が単なる経費削減だけではなく、労働力として狙われていたというところがポイントだという。つまり、囚人を安く働かせることで、企業が潤うのだとのこと。

安い賃金で雇えるために海外へ移行した工場では、英語が通用しないためマニュアルに載っていないトラブルが発生した場合、手間がかかるのだという。自国内への移民も同じ。それに対して、英語が使えるのはもちろんのこと、賃金が安く抑えられ、しかも保険もかからない囚人は労働力として企業にとっては魅力ある存在なのだとか。

今や刑務所内での仕事は大きなビジネスになっているという指摘にはうんざりさせられる。電話サービスから軍事面での製造業まで、囚人が大きな労働力として使われているというのだから。

それにしても、刑務所内でかかる経費が囚人負担だというのはすごいことだ。出所してからも、刑務所内でかかった経費を払い続けるという話には笑うしかない。借金漬けで出所するとは。