棚の思想/メディア革命時代の出版文化 小川道明 影書房 1990年3月30日 初版第1刷発行 |
NO.1199『「今泉棚」とリブロの時代』に本書のことが出ていたので読んでみた。すると、『「今泉棚」とリブロの時代』が、かつて池袋ブックセンターにあった「今泉棚」の盛衰を紹介していたのとは異なり、たんに70年代末から80年代にかけての出版状況と本屋についての業界話にばかり終始した内容で、がっかりした。棚の思想についてなど、書かれていない。
先入観をもって読んだだけに、肩すかしを食った気分。たしかに、池袋ブックセンターには「今泉棚」はあっても「小川棚」はなかった。
※ ※ ※
松岡正剛氏が千夜千冊に本書、『棚の思想』を取り上げていても、『「今泉棚」とリブロの時代』は取り上げていないのは、なぜなのか。このところ、考えていた。
昨年から始まった「松丸本舗」(丸善・丸の内本店4階)の発想は「今泉棚」にあるのではないか。どうも、そんな気がしてならない。本を何十年か買い続けていれば、だれしも書棚に並べるときに配列を考えざるを得ない。それだけに、本好きにとっては興味を惹かれるだろう。
そして、もう一つ思い浮かぶのが高橋徹氏による古書店「月の輪書林」の古書目録だ。特定のテーマに沿って延々と何千冊も古書目録に書名を並べるという、その発想。月の輪書林さんの倉庫には、その目録に並んだ書名順どおりに現物の本も並んでいるのだろうか。もし、そうだとするなら、その棚は「松丸本舗」の棚作りの考えかたと共通する。まして、今はなき「今泉棚」とも。
コメント