[NO.1180] 懐かしの昭和30年代/貧しくても元気だった

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懐かしの昭和30年代/貧しくても元気だった
町田忍
扶桑社
2002年12月30日 初版第1刷発行

あとがき「気がつけば、昭和は遠くなりにけり」を読むと、

前作『ぶらり散策 懐かしの昭和』を出版して以来、まだ一年半しか経っていない。

とある。うーむ、そちらの方も面白そう。ぜひ読まずばなるまい。その前に、念のため自サイト内を検索してみると、既読だった。NO.352『ぶらり散策 懐かしの昭和/消えゆく昭和の建物をたずねて』として、目次まで記録にとってある。ところがまるで記憶に残っていないのだ。そういえば、その本の中、著者が「銭湯の浴槽につかっている写真(もちろん頭には手ぬぐいかタオル)」が巻末あたりに掲載されていたことを思い出す。

本書はいきなりの巻頭写真がダッコちゃんなだけに、定番であるグリコのおまけなどの「物類」が中心かと思いきや、分量としては建物についての記述の方が多かった。こちらとしては、その方が興味深くて良かったのだが。

「懐かしの喫茶店」として取り上げられた写真の数々が、取り分けよろし。第2章にある「駅舎」よりも、もっとたくさんの喫茶店が見たかった。都内だけでも、今はもうあまり残っていないのだろう。その点、京都の喫茶店に目をつけたところはさすが。小樽の喫茶店として紹介されている「Free-Lance」。ここは寄ったことがある気がする。色内2丁目、児童公園の横とあるが、記憶がすでに薄らいでしまっている。

第3章「映画館」を取り上げるなら、その当時流行っていたアメリカモダニズムを取り入れていたという戦前に建てられた豪華な建物、それも外観と内装の両方をぜひ見たかった。「東洋キネマ」については、すでに藤森照信氏の著書によって詳細な記録が残されている。

前著もそうだったが、最後に「アクセス」として、本文で取り上げた建物への行き方が載っているところがいい。

目次
●新たなる昭和を求めて
街歩きのすすめ
●懐かしの喫茶店
喫茶店とカフェー/あの頃の喫茶店/喫茶店とコーヒーブーム/京都の喫茶店/喫茶店めぐりの楽しみ●懐かしの映画館
幻のダダイズム建築/映画館は夢みる装置/映画館の内部を観察/あの頃の映画館/映画の広告
●懐かしの駅
駅舎独特の表情/独特の様式美をもつ駅舎/四角い造りの大型ターミナル/三角屋根の中型駅舎/個性的な駅舎/駅舎の定点観測 ①渋谷駅②大塚駅③桜木町駅④二子玉川園駅/浜松町の小便小僧
●昭和を捜しに出かけよう!
昭和が息づく山形県の高畠町
●昭和の暮らし
お菓子/キャラメル/チョコレート・ドリンク・アイスクリーム/遊びとおもちゃ/小学校時代/給食の時間/家電/乗り物/自家用車以外の乗り物/乗り物の広告/薬/住宅事情
●昭和を捜しに出かけよう!
交番という快適空間/煙草屋さんの意匠/看板は酒屋さんの誇り
●アクセス
●気がつけば、昭和は遠くになりにけり