ハイスクール1968 四方田犬彦 新潮社 2004年2月25日 発行 |
出版された頃、毀誉褒貶の激しい噂を目にしながら、つい読みそびれてきてしまった。今回、やっと読了。たとえば鈴木晶氏の日記(3月3日付け)。
この人、恩師由良君美氏との交流もすごかったな。NO.411『先生とわたし』によれば、当時由良氏からなぐられたのだとか。
p27
60年代の末には、難解であることが、芸術作品の価値を定めるさいに、もっとも重要な判断基準であるといった風潮が蔓延していた。フェリーニの『8 1/2』が難解であるように、ジョン・コルトレンのジャズは難解であり、埴谷雄高の『死霊』はことさらに難解であるとされていた。それは、こうした作品が芸術として優れているという意味であった。80年代以降の芸術が、もっぱら面白いか、面白くないかという基準のもとに判断されるようになったのと比較してみると、これは興味深い現象であったといえる。
面白いか、面白くないかという判断基準。言い得て妙。かくして、イースト・リバーにアルバート・アイラーの死体が浮いてから以降、フリージャズは終わり、フュージョンが流行ったと彼はいう。
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読んでいて、おやっと思ったのは、次の3人についての記述。岡田史子、福間健二(が執筆した『明後日は十七歳』)、帷子耀。
庄司薫の小説に言及しているが、内容は予想どおり。
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