ガリ版文化を歩く/謄写版の百年 志村章子 新宿書房 1995年1月30日 第1刷発行 |
ガリ版または謄写版関連では2冊目かと思っていたけれど、過去の読書録を調べても出てこず。っということで、しつこく自サイト内を検索してみると発見。NO.508『知的〈手仕事〉の達人たち』。「かつてぼくたちはガリ版名人だった/鎌田慧 佐藤慶」が、それ。俳優の佐藤慶氏がガリ切りの経験者だったという記述、記憶に残っていましたので。
下の方に、「1998年8月、ひさしぶりにガリ版をするふたり。」というキャプションのついた写真。いやあ、なんともはや。
本書を読みわかったことは、ぼーっとした毎日を過ごしている間に、ロウ原紙やヤスリ板などを製造しているメーカーが消滅してしまったらしいということ。いや、謄写版そのものを製造していたホリイ自体も。
かつて新入りとして配属された職場で、鉄筆とヤスリ版を支給されてびっくりしました。さすがに時代はボールペン原紙が主流(それだって昭和の遺物)、欲しいという先輩に差し上げてしまいました。まだロウ原紙を使っている人もいました。文字を修正するとき、ロウ原紙の直したいところへ、煙草の火をサッと近づけて手直しする手つきに見とれたものでした。禁煙なんぞ、影も形もなかった時代。ちなみに、もちろんロウ原紙用の修正液はありました。が、あえて使わないところに、ベテランの味を見せつけられた気がしたのも事実。
後日、鉄筆とヤスリ版を渡されたのは、実はからかわれていたのだと聞かされました。
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