現代幻想小説の読み方101/國文學増刊(1997・7)改装版 編者 國文學編集部 學燈社 1996年9月15日 初版発行 |
取り扱っている小説が多岐にわたっており、その取り合わせの妙が面白し。SFから純文学まで、それも海外・国内もばらばら。どういった編集方針なのか。とりあえず、巻頭を飾る塚本邦雄氏の格調高い文章を読んでも、あまりぴんと来ず。その分、巻末「幻想小説の読み方」関井光雄氏が読み応えあり。
そういえば、昔からこの「101」という括り方、『國文學』ではよくありましたね。その手のシリーズもの、何種類か買いました。いったいどこにしまい込んでしまったのやら見当も付かず。おそらく段ボールの中でしょう。見開き1ページでひとつの内容なので、ぱらぱらと読み進められ、予想以上に早く読了。
先ほど検索していて、『國文學』と『学燈』両紙が昨年、休刊していたとのこと。感慨深いものがあります。
目次
●太初に幻想ありき 塚本邦雄
ヘルマン・プロッホ 『ヴェルギリウスの死』池内 紀
島尾敏雄 『孤島夢』日高昭二
久生十蘭 『黄泉から』川崎賢子
野溝七生子 『月影』藤沢 全
小田仁二郎 『触手』広瀬晋也
アレッホ・カルペンティ工ル『この世の王国』杉浦勉
正宗白鳥 『お伽噺 日本脱出』相馬庸郎
埴谷雄高 『虚空』紅野謙介
坂口安吾 『夜長姫と耳男』安藤宏
福永武彦 『冥府』平岡敏夫
フアン・ルルフォ 『ぺドロ・パラモ』安藤哲行
小島信夫 『島』紅野謙介
円地文子 『妖』鳥居邦朗
沼 正三 『家畜人ヤプー』川崎賢子
イタロ・カルヴィーノ 『木のぼり男爵』副島博彦
室生犀星 『蜜のあはれ』小菅健一
谷崎潤一郎 『夢の浮橋』平岡敏夫
ジョン・バース 『酔いどれ草の仲買人』関井光雄
川端康成 『眠れる美女』小菅健一
深沢七郎 『風流夢譚』相馬庸郎
宇能鴻一郎 『鯨神』渡部芳紀
森 茉莉 『恋人たちの森』井口一男
カルロス・フ工ンテス 『アウラ』安藤哲行
三島由紀夫 『美しい星』神谷忠孝
安部公房 『砂の女』今村忠純
小松左京 『日本アパッチ族』花田俊典
中井英夫 『悪夢の骨牌』古俣裕介
森 敦 『月山』佐藤泰正
花田清輝 『力婦伝』(「室町小説集」より)井口一男
会井美恵子『アカシア騎士団』広瀬晋也
ガブリエル・ガルシア=マルケス『族長の秋』野谷文昭
ドナルド・バーセルミ 『死父』牧 真司
ホルヘ・ルイス・ボルヘス 『砂の本』立林良一
山田風太郎『幻燈辻馬車』今村忠純
アラン・ロブ=クリ工 『幻影都市のトポロジー』立川健二
山尾悠子『夢の棲む街』清水伊津代
井上ひさし『百年戦争』石原千秋
式 貫土『カンタン刑』石井和夫
色川武大『生家へ』田島秀一
眉村 卓『ぬばたまの...』今村忠純
河野多恵子『妖術記』田中励儀
ジョン・クロウリー『エンジン・サマー』牧 真司
マヌ工ル・プイグ『天使の恥部』野谷文昭
後藤明生 『吉野大夫』田口律男
森万紀子 『雪女』金井景子
中上健次 『不死』(「熊野集」より)日高昭二
村上 龍 『コインロッカー・ベイビーズ』栗坪良樹
フィリップ・キンドレッド・ディック『ヴァリス』植島啓司
笠井 潔 『ヴァンパイヤー戦争』花田俊典
渋沢龍彦 『ねむり姫』高桑法子
村上春樹 『羊をめぐる冒険』田中励儀
伊井直行 『草のかんむり』松下博文
ジョン・ファウルズ 『魔術師』千石英世
石川 淳 『至福千年』鳥居邦朗
高橋和巳 『邪宗門』清水伊津代
梅崎春生 『幻化』野山嘉正
フリオ・コルタサル 『すべての火は火』立林良一
トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』巽 孝之
大江健三郎 『万廷元年のフットボール』栗坪良樹
マルグリット・ユルスナール 『黒の過程』丹生谷孝志
稲垣足穂 『山ン本五郎左衛門只今退散仕る』塚本邦雄
ハンス・カール・アルトマン 『サセックスのフランケンシュタイン』副島博彦
大庭みな子 『幽霊達の復活祭』野坂幸弘
小川国夫 『試みの岸』川島秀一
野坂昭如 『骨餓身峠死人葛』渡部芳樹
武田泰淳 『富士』石原千秋
高橋たか子 『骨の城』高桑法子
ルーチョ・チエ-ヴァ 『テスケレ』千種 堅
吉田知子 『無明長夜』金井景子
筒井康隆 『脱走と追跡のサンバ』田口律男
イ工ールジ・コジンスキー 『預言者』沼野充義
スティーヴン・ミルハウザー 『エドウィン・マルハウス』大串尚代
フィリップ・ロス 『乳房になった男』関井光雄
寺山修司 『新釈稲妻草紙』神谷忠孝
半村 良 『産霊山秘録』古俣裕介
倉橋由美子 『スミヤキストQの冒険』藤沢 全
莫 言 『秋の水』武田雅哉
荒俣 宏 『帝都物語』松下博文
日野啓三 『夢の島』野坂幸弘
小林恭二 『小説伝』安藤 宏
高橋源一郎 『優雅で感傷的な日本野球』中村三春
ポール・オースター 『幽霊たち』野坂政司
ウンベルト・エーコ 『フーコーの振り子』丹生谷貴志
増田みず子 『禁止空間』玉置邦雄
丸山健二 『水の家族』清水伊津代
長野まゆみ 『少年アリス』井上 謙
スティーヴ・エリクソン 『黒い時計の旅』野坂政司
ジュリアン・バーンズ 『101/2章で書かれた世界の歴史』野崎 歓
津島佑子『大いなる夢よ、光よ』井上 謙
日影丈吉『泥汽車』石井和夫
辻原 登『村の名前』小野寺凡
島田雅彦『ロココ町』中村三春
マーク・ジェイコブスン 『ゴジロ』秋元孝文
松浦理英子『親指Pの修業時代』岩見照代
久間十義『ヤポ二力・タペストリー』小野寺凡
佐藤亜紀『戦争の法』玉置邦雄
奥泉 光『ノヴァーリスの引用』榎本正樹
多和田葉子『犬婿入り』岩見照代
池沢夏樹『マシアス・ギリの失脚』高橋敏夫
笙野頼子『二百回忌』高橋敏夫
室井光広『おとるでく』榎本正樹
●幻想小説の文献装置 関井光男
コメント