東京原子核クラブ・フユヒコ/マキノノゾミ戯曲集 マキノ ノゾミ 著 小学館 1999年6月20日 初版第1刷発行 |
いやあ面白かった、読書の間中わくわく。なんだかんだと結局深夜2時過ぎ読了するまで一気読み。久々に至福の時間。
戯曲でこんなに楽しめたのは久々かな。人物がリアルに動き回ってくれるのです。
「東京原子核クラブ」は戦前の下宿屋の雰囲気がよかった。洋館風というところがポイントか。なんだか久世光彦氏や向田邦子氏の描く世界風。第二幕で、わざと時間を錯綜させた場面構成がよかった。元下宿人2名が戦死する前の幸せだった日々の場面を挿入したところ、やられましたね。
脚注の入れ方もよし。
p62 ※29:なぜか尼僧姿となっている富佐子がいる。の脚注の中、(と、そういうこともきちんと戯曲に書いておくようにと井上ひさしさんから教えていただいた)とあるのを読み、妙に納得。そうなのです。井上氏の影響を感じます。
「フユヒコ」の寺田寅彦、いいキャラクター設定。狂言回し役の末っ子秋子には、同時並行で読んでいた北杜夫氏のエッセイがオーバーラップして楡家の人々と重なってしまい、桃子の人物像と混乱。
3人目の妻の人物造形がうまい。憎らしそうに見え、かわいらしい妻像。ドタバタを引き起こす引き金、「招き猫」設定のうまさはいわずもがな。
本書を読むに至るきっかけはこちらに記述があります。
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