どくとるマンボウ回想記 北杜夫 日本経済新聞出版社 2007年1月24日 第1刷 |
何十年ぶりで手にするどくとるマンボウシリーズでしょうか。表紙にある若い頃の写真と比べると、お年を召しましたねえ。これまでの人生を振り返ってのエッセイ集。なんだかなあ。
相変わらず、同じ内容のことがくどくどと何度も出てきます。しかし、勝手知ったる年来の読者にとっては、そこがまた面白し。
茂吉と二人で終戦直後に暮らしていて、いきなり座骨神経のラテン名について質問し、自分でなかなか思い出せなくなりながらも最後に思い出し、現役のお前が知らぬとは何事だ、と再度激怒したという逸話、いったい何回読まされたことやら。いや、懐かしかったな。また出てくるとは思いませなんだ。
辻邦生氏も遠藤周作氏も、みなさんが鬼籍には入られてしまわれ、今やこんな本を出すに至ったとは。行間がいやにゆったりとってあり、読みやすいけれども、それがなんだか痛々しくて。
巻末に詳細な「北杜夫著作目録」。これだけでも価値がありそう。
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