1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド 宮崎哲弥 新潮社 2006年11月15日 発行 |
中身に入る前に、背表紙についてぜひ触れておきたいもの。なぜなら、ご自分の写真が入っているのですから。背表紙に著者近影があるなんて、いやあ初体験。さすがですねえ。石ちゃんと胃薬のCMにでているお姿をつい思い浮かべてしまいました。
『週刊文春』連載「新世紀教養講座」「ミヤザキ学習帳」(2001年1月18日~2006年8月10日)をまとめたものだそうです。紹介している冊数が多いことに驚き。
特徴は文体でしょう。ちょっと昭和軽薄体に近いような。それと後半部「ミヤザキ学習帳」で導入された座標軸方式。勝手な推測ですが、これって著者お一人の発想ではないような。あとがきにもあるように、かなりの冊数を候補に挙げておき、その中から絞って対象とする本を決めたとか。その最初の数多い候補を選ぶ、さらにいえばテーマを決めるという作業も、当然著者お一人では厳しかったことでしょう。
すると、毎回のテーマを決めたり、その関連本リストを作成したり、揃えたり、座標軸に使う四項目を決めたりしたのは、いったいどなた? 編集者かしら?
なかには、なんだあという回もあれば、ついつい引き込まれてしまった回も。第1回で未来を語るのに、つかみがうまい。
p5
あっという間もなく新世紀に入ってしまった。
小学校の頃、万博に因(ちな)んで出された「二十世紀の君」とかいう課題に、一言「とっくのムカシに死んでいる」と書いてこっぴどく叱られたことがある。
だいたい文春でこれを読むであろう年齢層を計算に入れた「万博」ネタで初回の冒頭ですから、これでかなりの数の読者をつかんだことでしょう。
しかも、このあとには小松左京「未来の思想」を出し、その次に親鸞の名前と「まことあることなき」という紹介を続けるなんざあ、ワザあり。
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