[NO.1648] ビブリオフォリア・ラプソディ/あるいは本と本の間の旅

bibliophilia-a.jpg bibliophilia-b.jpg

ビブリオフォリア・ラプソディ/あるいは本と本の間の旅
高野史緒
講談社 
2024年05月21日 第1刷発行
219頁
再読

「本の雑誌」2024年9月 の「新刊めったくたガイド」で大御所大森望さんが絶賛していました。

P,62
『ビブリオフォリア・ラプソディ』に◎
日下三蔵風の古本マニアが夢のような古書店に溺れる話......。本誌読者なら楽しく読めること請け合いの書痴小説集。

大森望さんによる造語でしょうか、「書痴小説集」。

表紙帯のコピーも、SF好き、本好きにとってはおろそかにできません。

消えてゆく本
書けなくなった詩人
「本の魔窟」に暮らす青年
本であふれた世界に、希望はあるか?

「SFが詠みたい」2024年版国内篇第1位著者最新作
本好きによる/本好きのための本!

作家は、小説は、本は、どういう未来に向かっているのか――
・読書に関する特殊な法律が課された世界の作家「ハンノキのある島で
・正確に訳すことが限りなく不可能なマイナー言語の日本で一人の翻訳者「バベルより遠く離れて
・あらゆる小説を斬りまくる文芸評論家が出会った、絶対に書評できない本「木曜日のルリユール
・書けなくなった元「天才美人女子大生」詩人のたったひとつの願い「詩人になれますように
・「本の魔窟」に暮らす蔵書家が訪れた不思議な古本屋「本の泉 泉の本
いろいろな書き手のもとを巡っていくダブルクリップの旅と、本にまつわる5つの物語

 ◆ ◆

読後感は、これのいったいどこがSFなんだ? でした。

もっとも、だからといって、ちっとも嫌いなわけじゃありません。5つの短篇作品は、それぞれバラエティ豊か。どれもが個性の強い小説ばかりです。手短でうまい要約が、上記〈帯〉の5行のとおりです。さすが講談社の編集者さん、そつがない。的確です。

個人的な感想からいうと、一着は「本の泉 泉の本」です。大森望さんのご指摘どおりですよ。〈日下三蔵風の古本マニアが夢のような古書店に溺れる話......。本誌読者なら楽しく読めること請け合いの書痴小説集。〉

作品中に出てきた作者名と作品名と手短な紹介を、それぞれ書き抜いてリストを作ってしまおうかと思いました。先ほど、やっとのことで(なんとか)踏みとどまって(止めている)ところです。マニア心をわかっていらっしゃる。

2着が「詩人になれますように」でした。主人公がまさかそんな行動をとるとは、思いもせず。