特集:国会図書館で調べ物を は出色! あたりです。どの記事も読みごたえがありました。
P12
☆日本で出版されたすべての出版物がある!と言われる国立国会図書館とはどんなところなのか!? というわけで、今月の特集は「国会図書館で調べものを」。「調べる技術」の小林昌樹による国民図書館宣言から、正しい使い方にイラストルポ、ヘビーユーザーの国会図書館体験に図書館突発ペーパー、デジタルコレクションの愉しみに叔父さん二人組+2の書庫探検、そして国会図書館推し座談会まで、国会図書館のすべてがわかる特集だあ!
→ 末尾の だあ! の出典は 小沢昭一の小沢昭一的こころ で間違いありませんよ。今日日(きょうび)、これのわかる方は、どれほどいらっしゃることか。えっ、おとうさん? これだけもう感動しております。ついていくしかありませんよ。あしたのこころだあ!
P12
国会図書館は「国民の図書館」なのだ
=小林昌樹(『近代出版研究』編集長)
P13
■国会図書館は普通の人も使える
戦前は「帝室図書館」という国立図書館が上野にあったんだけれど、戦後、衆議院と参議院が図書館を大きくしようとしたら、GHQに、アメリカみたいに調べものをメインに作りなさい、ついては最大の蔵書を持つ帝国図書館(戦後「国立図書館」と改称)を併合しなさい、と言われて、いまの「国立・国会」図書館ができた(一九四八年)。国会附属がナショナル図書館を兼ねる、というのは他にアメリカぐらいしかないので、結構特殊なのが日本の国会図書館である。(途中略)
ただ基本、大人が調べものに使う利用が想定されているので、一八歳未満の人は入れない。納本で成人図書も集まるし、拙書『もっと調べる技術』(皓星社、二〇〇〇円+税)でその調べ方を予習して、大人になってから行きましょう。
P26
デジコレの楽しみと危険について
◎山本貴光
→ 本特集の中では、いちばん親切な記事だったような。
◆ ◆
P46
新刊めったくたガイド
大森望
1091ページの巨峰・奥泉光『虚史のリズム』に五つ星!
日本の夏、SFの夏――と書くのも何度目か。しかしこの盛夏は、ふつうの月ならトップで扱うような日本SFの話題作が一気に5作も出た。もっと散らしてくれれば......と嘆きつつ、その5作に絞って紹介する。(以下略)
・奥泉光『虚史のリズム』(集英社四八〇〇円)★★★★★
・春暮康一『一億年のテレスコープ』(早川書房二二〇〇円)★★★★
・宮西建礼『銀河風帆走』(創元日本SF叢書一七〇〇円)★★★★
・松崎有理『山手線が転生して加速器になりました』(光文社文庫七八〇円)★★★★
・円城塔『ムーンシャイアン』(創元日本SF叢書一七〇〇円)★★★★
P54
新刊めったくたガイド
本の雑誌チーム
松永K三蔵『バリ山行』がただひたすらおもしろい!
芥川賞受賞作は日頃縁遠いのだけれど、朝日新聞に掲載された受賞エッセーに親しみを覚え手にとった松永K三蔵『バリ山行』(講談社一六〇〇円)が、「芥川賞受賞」を忘れさせるほどただひたすらおもしろかった。(途中略)
「オモロイ純文運動」を掲げる著者なのだが、これはまさしく超おもしろい文学作品だ。こんなにおもしろいなら、この際、直木賞も一緒にあげて史上初の"二刀流"受賞でよかったと思う。(杉江由次)
P67
本の雑誌の本
『モールの想像力/ショッピングモールはユートピアか』
単行本 2023/8/26
大山顕(監修・編)
P72
雑誌のほそみち
42篇の多彩な思索が並ぶ「ユリイカ」の散歩特集
urbansea
「ユリイカ」2024年6月号/青土社
特集-わたしたちの散歩
多彩な対談やエッセイ、論考が並ぶ。
あるいはテレビ研究の松山秀明は散歩番組を論じるなかで、番組の特徴として、ロケ地とロケ地の合間の道のりの「省略」、むやみやたらと「人に話しかける」こと、やたらと「食」することをあげる。さらにジャンルの火付け役となった「ちい散歩」の地井武男はもともと散歩好きで、「寄り道」「人との出会い」「季節感」を散歩の三箇条としていて、これらは先の「省略」「声かけ」「食」に転化されるものだと指摘する(ひとつ目には無理を感じるが)。(途中略)
あえてここで取り上げたいのが、物書きを肩書きとする橋本倫史の「街を散歩すること、散文的であること」だ。橋本は旅先の沖縄で朝食を買いに出て戻るまでをエッセイ調に記述したうえで〈こんなふうに街をぶらついているのは、「散歩」と言えるのだろうか?〉と問いかける。それは、「中央マート」でタコスミートサンドを買い、路傍のベンチに腰掛けてそれを食べようと思うがアイスコーヒーが欲しくなりセブンーイレブンに立ち寄る。そのとき、清明(シーミー)祭という4月に催される先祖供養のチラシを見つけ、数日前に地元の酒場でその話をしたことを思い出したというものだ。
なるほど、これがライターの業(わざ)なのかと唸らされる。弁当屋に行ったついでにコンビニに寄ったというだけのことを書いても、おのずとそこには散歩番組のフレームにも通じる、達人・地井武男の謳う散歩三箇条が含まれているのだから。
橋本は目論見や目的のある街歩きは散歩から外れるのだろうかとも問うたうえで、それを否定する。師であった坪内祐三は「私は電信柱を次々とこわされていく犬だ」と言いながらも、絶望することなくささやかな未知との出会いに期待し、街を歩き続けたと記すのだ。
散歩は、なんとなく入った街の書店で棚を見て回ることに似た営みだと、複数の意味で思う。
P88
●続・百歳までの読書術
わが町の本の蔵
=津野海太郎
P89
『図書館に通う』(宮田昇、みすず書房)
P102
●サバイバルな書物(108)
この体にしか宿らぬいのち
離れることができない意識
=服部文祥
『ハイブリッド・ヒューマンたち 人と機械の接合の前線から』ハリー・パーカー
川野太郎訳/みすず書房
装丁・木下悠
→ いやはや、先月号につつけて(本書)で取り上げられました。ちなみに、9月号では 東えりかさんの新刊めったくたガイド興奮と驚きの支援テクノロジー最前線 で紹介されました。
それにしても、服部文祥さんの文章には参りました。冒頭から本書のテーマを紹介するところまで、つかまれたまま離してもらえません。
P102
かつては「地雷を踏んだらさようなら」だったが、いまは都市の真ん中より、戦場で地雷を踏むほうが、生存率が高いらしい。小隊の最後尾に衛生兵がいて、一八分以内にヘリコプターが外傷専門の野戦病院に搬出してくれるからである。
小話のようなエピソードを挟みます。あるいはハリー・パーカーの前著を紹介するのに、〈ティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』のオマージュでもあるようだ。〉と、有名な書名をさりげなく提示したり。手腕が違います。
P125
即売会の世界
石川春菜(八画文化会館)
吉祥寺にあるBOOK CAFE TERMINALというブックカフェで月4回定期開催されているブックターミナルマーケットの「リソグラフ市」に行ってきました。5、6ブースの少数精鋭型の即売会だったので、出展者の方々とゆっくりお話ができて貴重な体験でした。
ZINE
・『奈良都民のならがき』奈良都民 奈良の本
・『カーテンコールvol.1』「ま」「桜」演劇レビュー
・『13-15・Feb・2023』mizuno saya オランダ旅行記
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