天使は本棚に住んでいる/吉野朔実劇場8

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天使は本棚に住んでいる/吉野朔実劇場8
吉野朔実
本の雑誌社
2016年07月20日 初版第1刷発行
96頁

本書帯から
だから本棚が大好きだ!
急逝した吉野朔実が遺した最後の〈吉野朔実劇場〉


本の雑誌社刊行のシリーズ 吉野朔実劇場 のなかでは、この8巻目『天使は本棚に住んでいる』がいちばん好きです。

シリーズ全8冊を1冊にまとめた増補版(吉野朔実劇場 ALL IN ONE)『吉野朔実は本が大好き』になってしまうと、分厚すぎて、寝転んで読むには扱いにくくなってしまいました。

その点、本書は厚みといい判型といい、片手でも手軽に扱えてベストです。詩集みたい。

ノンブルがないのが唯一残念なところ。目次にはページ数が明記されているのに。どうして??


 ◆ ◆

【目次】と紹介本

ポール君と迷路 1
 ポール・オースター『オラクル・ナイト』新潮文庫
恥づかしながら  8
 モーリス・ルブラン『ルパン、最後の恋』ハヤカワ・ミステリ
 高野文緒『カラマーゾフの妹』講談社
占いはお好きですか?  12
 ゲイリー・ゴールドシュナイダー/ユースト・エルファース『誕生日辞典』角川書店
エロ本魂  14
 樋口毅宏『ルック・バック・イン・アンガー』祥伝社
祟り  18
 岩井志麻子『マカリーポン』河出書房新社
 小野不由美『残穢』新潮社
色々な女達  20
 アーナルデュル・インドリダソン『緑衣の女』東京創元社
 スーザン・ヒル『黒衣の女』ハヤカワ文庫
プライマー  24
 『ダイヤモンド・エイジ』ニール・スティーブンスン/早川書房
犯人は誰だ?  26
 堀江敏幸『燃焼のための習作』講談社
世界も女も俺のもの  28
 島田春樹『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』本の雑誌社
文字で描く絵画  32
 ポール・ラファージ『失踪者たちの画家』中央公論新社
私は騎手を許さない  34
 藤田伸二『騎手の一分』講談社現代新書
どちらを読むか どちらも読むか  36
 ノックス・マシン『ノックス・マシン』KADOKAWA
 A・H・バートレット『本を愛しすぎた男』原書房
単位  40
 世界単位認定協会編著『[カラー版] 新しい単位』扶桑社
 世界単位認定協会編著『【新しい】新しい単位』扶桑社
テイスト・オブ・ハニー  42
 『くまのプーさん』A・A・ミルン作/E・H・シェパード絵/岩波書店
バースデイ  46
朝だか昼だかわからない  48
 『写字室の旅』『闇の中の男』ポール・オースター/新潮社
パペットなのに本物の馬でした  52
 『戦火の馬』マイケル・モーバーゴ/評論社
ホドロフスキーの「DUNE」  54
 『デューン 砂の惑星』フランク・ハーバート/ハヤカワ文庫SF
友達いますか  58
 『エハイク』『惡い笛』吉田戦車/フリースタイル
可愛い怪物達  60
 『プリティ・モンスターズ』『アライバル』ショーン・タン/河出書房新社
娘が親の本棚を  62
 『ぼくの遺稿集』ローベルト・ムジール/晶文社
THE SERIALIST 連載小説家  66
 『二流小説家』デイヴィッド・H・ゴードン/ハヤカワ・ミステリ文庫
ヤーガン族(ヤマナ族)  68
 『グレートジャーニー』関野義晴/角川文庫
戦後七十年  72
 『笹の船で海をわたる』角田光代/毎日新聞社
上手な下世話  74
 『そのアレックス』『死のドレスを花嫁に』ピエール・ルメートル/文春文庫
新しい古本  78
 『石蹴り遊び』コルターサル/集英社
戻って来た「猿の手」  80
 『ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』柴田元幸訳叢書/スイッチ・パブリッシング
毒を食らわば  82
 『悲素』帚木蓬生/新潮社
どの物語がお好みですか?  86
 『地球の中心までトンネルを掘る』ケヴィン・ウィルソン/東京創元社
出火吐暴威と宇宙  88
 『火星の人』『一九八四』ジョージ・オーウェル/ハヤカワepi文庫
猿という雑誌  92
 『MONKEY』スイッチ・パブリッシング
発掘  96


バースデイ発掘 には紹介本がありません。

それぞれのタイトルで1~2冊の本を紹介するマンガ作品が続きますが、かならずちょろっと短いフレーズで気の利いたセリフのようなものが載っています。これがどれも面白い! 

たとえば、恥づかしながら では〈カラマーゾフの兄弟は皆いかれている〉であり、娘が親の本棚を では〈心に付箋を付けましょう〉といった具合。ただし、ポール君と迷路発掘  にはもっと長いモノローグのような文言です。これらの2作は前書きと後書きのような欄外扱いだからでしょう。