しゃべるガードレール_所さん!事件ですよ

NHK総合
2023年6月15日(木)23:00
所さん!事件ですよ
音にまつわる事件や謎を深掘り

秋田・男鹿市では"しゃべるガードレール"なるものが話題に。意外な場所から届いていたのはロシア語? ガードレールがラジオに!?謎を徹底調査。

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見渡す限り人家のない道路沿いにあるガードレールから、人の話し声が聞こえてきます。驚くしかありません。

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【調査結果】
ガードレールから200m離れたところに立つ鉄塔があります。NHK大潟ラジオ放送所です。番組表で確認すると、ロシア語講座番組を放送していました。これがロシア語のような話し声の正体のようです。

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秋田県立大学知能メカトロニクス学科小谷光司教授が解明してくれます。

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ガードレールの電圧を測ると......ガードレールがラジオになっているようです。まさにガードレールラジオ。

長い金属の板・棒・線はアンテナとして働くので、ガードレールは非常にいい性能を持ったアンテナになります。

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ガードレールラジオの仕組みはゲルマニウムラジオでした。電源がなくてもAMラジオが聞くことができます。

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小谷教授が注目しているのは、音声信号を取り出す部品「ゲルマニウム ダイオード」です。それは鉱石のゲルマニウムと細い金属が接触するつくりになっています。教授はガードレールにも同じ働きをする場所があると考えています。

現地では、ガードレールの鉄がさびて色が変わっているところがあります。鉄がさびたもの(=酸化したもの)はゲルマニウムと同じ性質をもっていると考えられるといいます。

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つまり、ガードレールの材料となる鉄や亜鉛が酸化したものがゲルマニウムに相当。ボルトなどと接触することでゲルマニウムダイオードと同じ役割をしていると推測できるのだそうです。

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たまたま大きな電波塔が近くにあって、
その近くに長いガードレールがあって、
そのところどころがさびていて、
そういったことが重なって、
たまたまラジオが聞こえている。

そのため、条件が合ったところでしかラジオが聞こえないのではないか。

しゃべるガードレール。その正体は偶然の重なりが生んだ奇跡のガードレールラジオのようだ。

まるで「都市伝説」のようです。"しゃべるガードレール"なるものが、本当にあるのだという実例を見せてもらえました。