本の雑誌 2023年2月号 No.476 福豆ふいうち号 特集=本を買う! |
特集=本を買う!
逢坂冬馬が本屋大賞の副賞で買った本!
書店は本を売るときに何を考えているのか!?
今号の「本棚が見たい!」巖谷純介さんの書架には驚きました。腰高くらいより上にある棚にはすべて、一本の棒が横に渡されているのです。おそらく地震対策なのでしょう。揺れても書架から本が落下しないための防止のためと思われます。瞬時に思い出しました。東日本大震災のとき、床に落ちた本が幾重にも重なって、分厚い絨毯のようになりました。一部は階段にあふれ、下の階になだれてきました。
巖谷純介さんの書架は、どれもがきれいで輝くばかりです。
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今号の特集=本を買う!は、近年の特集の中で、いちばんのヒット作です。本にまみれた本好きを、こんなにも援護し、正当化させてくれた、その功績は、いくら称えても、しすぎではないでしょう。
「リトルジョンは右に回って、援護しろ!」と指示する、サンダース軍曹の力強い声が聞こえてきました。 |
☆本は読むためだけにあるのではない。買うためにあるのだ!
↑ 目から鱗の惹句です。
P12
本を買え。
天に届くまで積み上げろ。
●中野善夫
トップからしていい。びっくりしました。それでいいのだ! とバカボンのパパが叫んでいそう。
P13
本の話題なのだから本を手に取って話を続けよう。近藤麻理恵『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』(河出書房新社)である。こんまりという愛称で呼ばれる、あの人である。蔵書家はその名を呼ばず、眉を顰めて「あの人」というこんまりである。
有名なこんまりさんの教えを「論破」していくところが痛快です。
積ん読する本を「いつか」読むというのは......。「いつか」はけっしてこないとおっしゃいますが、「しかし、あなたはまだ若い。買って四十年経ってから読む本があることを知らないだけである。」痛快です。
一人あたりの未読冊数を、「多い人だと四〇冊以上あるのではないでしょうか。」とするのに対し、「我が家にはまだ読んでいない本がその百倍くらいありそう」と切り返します。
そして、本を買う意味、本を読む意味について、話は進みます。長いので途中を略しますが、「いやいや、そもそも根本から間違っている。」のだと。敢然と立ち向かっていく姿が見て取れます。だれに?って、そりゃもう、あのこんまりさんに対してです。清水幾太郎『本はどう読むか』(講談社現代新書)を援用して、「本はどんな無理をしても、買わなければいけない」と打ち出します。笑ってしまいそうです。わたしも中野善夫さんと同じく、中学時代にこの本を読みました。いや、高校生だったかもしれない。
中野さんが大きく力づけてくれます。本は持っていなきゃだめだぞ。
次の記事も蔵書に埋もれた孤独な読書人を励ましてくれます。
P15
●本を買う編集者対談
冊数じゃなくて目方で考える!
井戸本幹也(早川書房) VS 水上志郎(竹書房)
こうなると、もはや「寅次郎」の歌の文句でしょう。「目方で男が売れるなら~」。
矢部潤子、山本貴光、水鏡子、お三方が買った本の一覧が、タイトルや価格等詳細に載っています。
1ヶ月で買った本の内訳です。矢部さん39冊で62995円、山本さん274冊で736051円、水鏡子さん354冊で70653円。
水鏡子さんは、まんだらけ、ブックオフ、古本市場などの株主優待クーポンを12300円使っています。山本さんは古書もありますが、新刊の比重が高い。
それにしても76万円とは。
P52
新刊めったくたガイド
すずきたけし
世界を知る、ということで興味深い本がタラス・ヤング『世界の終わり防衛マニュアル図鑑』(竹花秀春訳/日経ナショナルジオグラフィック 4500円)だ。
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