[NO.1584] 人生にゆとりを生み出す 知の整理術

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人生にゆとりを生み出す 知の整理術
元「日本一のニート」pha ファ
大和書房
2017年12月25日 第1刷発行
246頁

「元日本一有名なニート」という超めんどくさがりやの著者が編み出した、効率的な学び方を全部のせ! 
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あたりまえすぎて、言わずもがな(言うまでもない)ということがあります。でも、あえて言われたことで、ハッと気づくこともまたあったり。往々にして、なんだかもやっとしているけど、あんまり意識しなかったことなどに、そういう例が多かったりとかして。

言われてみれば、そうんだよな、という当たり前なこと。あえて意識したことで、気になりだしたり。

この本に書かれていることは、前書きの「はじめに」で、ほぼ言い尽くされています。

表紙「見返し」の一行「そろそろ本気出したいあなたへ。」には笑ってしまいました。くすっと笑える、ちょっとした工夫・アイディアが、あちこちにちりばめられています。まるで小中学生向けのクイズ本か攻略本みたいな。

「そろそろ本気出したいあなたへ」のメッセージを「ワンセンテンス」にしたのが、次のフレーズです。

"一生懸命、必死でがんばっているやつよりも、
なんとなく楽しみながらやっているやつのほうが強い"

うーん、なんだか禅問答みたいです。これだけじゃ、まるでバイト先のコンビニ店長が、春休みにはじめてバイトする高1に、のたまっているセリフみたいです。

でも、なんですよ。一度最後のページまで読んでから、振り返ってこの部分を読むと、「そーなんだよなあ」って具合に、このフレーズが、とてもすんなり入ってくるのです。論旨のすすめかたが、シンプルだからでしょうか。

この本のテーマは、いかにして「(面倒な)勉強をするか」です。なぜなら、"知識は人生を変える"からです。(P3)

それは、(勉強によって)「いい大学に入れる」とか「資格や昇進によって収入が増える」といった単純な話だけではない。
何かの知識を調べて活用する技術は、人生のあらゆる場面で必要となってくるものだ(から、勉強するのでしょう)」

知識があれば避けられる不幸が、人生には結構ある。
実は、困っている人を助ける制度はたくさんあるのに、自分で調べてその制度にたどりついた人しか助けてもらえない、ということはよくある。(P3,P4)

怖いことですよ。経済的なことって、ほとんどがここで言われていることに当てはまりますから。ずばり! ってやつですね。

ちょっと調べて情報や知識にアクセスさえできれば、今の状況から抜けさせてくれる手段や、別の人生の選択肢があることを知ることができるのに、知らないままで苦しんでいる人が意外と多い。
なんとなく普段から知識や情報に触れる習慣を持っているかどうか、困ったときに自分でちょっと調べてみるという行動パターンを持っているかどうか、わからないときはどこでどういうふうに質問すれば答えが見つかるかを知っているかどうか。そうした、「勉強への抵抗のなさ」で、人生は相当変わる。(P4)


そのための「基軸」として、次の3点を挙げています。

1)「習慣の力」でやる
2)「ゲーム感覚」でやる
3)「楽しいことだけ」やる

具体的な説明が、このあとに続きます。その昔、次の言葉を言われたことがあります。「性格」は変えられないけれど、「習慣」なら変えられる。ふと、そんなことばを思い出しました。この筆者が上手いところは、格言のようなこの手の言い回しをマンガのセリフから引用するところだったりします。あえて、具体的な作品名を紹介したうえでのことなので、抵抗感も軽減され、親しみも増し、いっそう受け入れられやすいでしょう。

具体的には「人類最大の敵は『めんどくさい』だ」というフレーズです。

「めんどくさい」とか「惰性」とか、今までの習慣をそのまま続けようとする慣性、こいつらの力はかなり強い。勉強でもダイエットでも(ここで勉強と並記してダイエットを持ち出すところが上手い!)、何でも続かないのは、大体こいつらのせいだ。

「なんとなく」は環境がつくる。筆者は「門前の小僧......」を紹介しているが、「孟母三遷の教え」のほうを思い浮かべてしまった。

もうぼ-さんせん【孟母三遷】
子供は周囲の影響を受けやすいので、子供の教育には環境を選ぶことが大切であるという教え。 ▽「孟母」は孟子の母。 「遷」は移る、転居すること。 孟子の母が、わが子の教育に環境の悪い影響が及ぶのを避けるため、墓地のそばから市場のそばへ、さらに学校のそばへと三度住居を移した故事から。
 goo辞書から リンク、こちら 

環境をお金で買ったということです。

P12 でうまいことを言っています。

人は自分の意志で環境を変えていくことができる生き物だ。

最初から整った環境に生まれたとしても、必ずしも利用できない(したくない)人だっています。映画「男はつらいよ」で前田吟が演じる「ひろし」(寅さんの妹さくらの夫)とかね。北海道大学名誉教授の父に反発して家出した中卒という設定です。

P13 
マザー・テレサの言葉
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

まるで、京都の禅寺に掛かっている額の文言みたいです。

2つ目の「ゲーム感覚」で、なるほどなと思ったところは、そもそも、何がゲームで何がゲームじゃないかという区別はあいまいだというところでした。勉強は楽しくないと思っている人が多いけれど、これはゲームだと思えば、大体のことは何でも楽しめるものだといいます。たとえば、人生だってゲームだとかです。

(3)「楽しいことだけ」やる ところのポイントは、楽しくなるまでに時間がかかるジャンルほど(面倒なことほど)、いったんハマると(身についたときには)、奥が深くておもしろい(面白さが深い)、というあたりにありそうです。

例として、慣れると楽しいんだけど、楽しめるようになるまでに時間がかかるものと呼んでいます。

例えば、聞きなれていないジャンルとして、クラシック音楽とかだそうです。スポーツや楽器演奏など、習い事なんて、みんなそうですよね。

最後にまとめとして、「勉強という趣味」と呼びます。勉強ほど、面倒で時間のかかるジャンルはありません(笑)。

勉強という趣味のよいところは、一生楽しめて役に立つところだ。

これが〆のフレーズでした。

ここまでが、まえがきです。

 ◆  ◆

本文は、端折って。

デジタルよりもアナログをいいます。ノートにペンで書くことを勧めたり、電子書籍よりも紙の本がいいとか。

本を読んだら、ブログで書くことを推奨しています。その際に「どうすれば、まったく予備知識のない他人に伝わるだろうか」ということを真剣に考えて文章を書くと、自然に自分の理解も深まるのでよい。」とのこと。真剣に考えて書いていないところが、自分に欠けているのでした。


カレンダーの利用の仕方とかポモドーロ(・テクニック)とか、具体的です。著者お勧めのノートがありました。

アイデア出し用のノート
1)「Project Paper」(B5サイズ・方眼)
2)「ニーシモネ」(A4サイズ・無地)

タスク管理用のノート
1)「無印良品のダブルリングノート」(A5サイズ・横罫)
2)「測量野帳」(縦160ミリ×横91ミリ・方眼)

まさか、こんなところで、コクヨの「測量野帳」が出てくるとは思いもしませんでした。これって、おすすめです。種類もいろいろあります。

ことの発端は、昨年の夏、あまりにも気温の高い日が続いたので、ウォーキングコースに大きなホームセンターを付け加えたことでした。(それまではショッピングモールばかりでしたが、さすがに飽きてきていました)。ある日、そこの文具売り場で偶然見つけたのが、この「測量野帳」でした。いろいろな文具売り場を回るのは長年の習慣だったのに、こんな素敵な手帳のことはまったく知らなかったことに新鮮な衝撃を受けました。リンク、こちら