日曜美術館「写真家ソール・ライター いつもの毎日でみつけた宝物」NHK Eテレ、2021.03.07 20:00(再) |
この番組のことは、先月、Morrisさんのブログ Morris. 日乘 の 2021/02/28(日)●ソウ ル・ライター● で紹介されていた。見逃しても、再放送があったので、さっそく録画予約をした。ずぼらなので、それをやっと今、見終わったところ。いやあ、面白かった。
もともと、この番組は2020年2月9日の再放送だった。そのころ、展覧会もあったのですね。
ソール・ライターさんのドキュメンタリー映画もあるという。
映画「写真家ソール・ライター 急がない人生でみつけた13のこと」(2023年)
監督:トーマス・リーチ 配給:テレビマンユニオン
公式サイト リンク、こちら。
そのすじでは有名な人だった。写真集もあった。
◆ ◆
雨粒に包まれた窓の方が
私にとっては
有名人の写真より面白い
番組では翻訳家の柴田元幸さんの言葉が紹介されていた。柴田さんはTVには出演したくないのだそうで、この文章を寄せたとのこと。柴田さんの書体は井上ひさしさんみたい。ちなみに、手前のイラストは島袋里美さんのもの。
(途中略)そして、作品に自分への執着が感じられないのと同じに、人生でも名声や成功をライターは求めませんでした。そういうところが、自分らしさを見つけないといけない、自分の力を世界に向けて発信しないと(しなければ)いけない、といった掛け声ばかりやかましい日本という国にいると、一種爽やかな励ましに思えてこないでしょうか。
なるほどと納得する。たまたま読んでいる『文庫本千秋楽』(坪内祐三著、本の雑誌社刊)の中野翠『この世は落語』(ちくま文庫)に、中野さんを評したところがあって、これが似ていたのですよ。孫引きまが含まれるけれど、以下に引用します。
P163
キャリア三十年に及ぶ売れっ子作家でありながら中野さんは賞とは無縁だ。そのヒントはこういう一節にある。「多くの人が名誉とか得とか思えることが、私には何だかひたすら恥ずかしく、受け容れることができなかった」。さすが翠ねぇーさん。シブいな。
この感覚、よくわかる。もっとも、こちらはいかなるちっぽけなものでも、賞なんぞには無縁な人生だったが。ああ、いや思い出したぞ。これまで誰にも言ってないが、忘れてしまいたいことがあった。有給休暇をほとんどとったことがなかったのに、唯一ずる休みを一回だけとったことがあった。(わざわざ)出張扱いにしてやるから、ある表彰式に出てこいと言われたときだった。翌朝、出勤すると机上に、これ見よがしのような賞状と光るトロフィーみたいなのが置いてあって、すぐに片付けた。へそ曲がりといわれれば、それまでだが。そもそも、彼らはこんなこと書かないか。
柴田さんは、上記ドキュメンタリー映画の字幕を担当したという。
肝心なのは
何を手に入れるかじゃなくて
何を捨てるかなんだ
番組では出演者らが、生き方が共感を呼ぶのでしょうといった流れになったところで、写真評論家飯沢耕太郎さんが、「いや、写真がいいんですよ」と一蹴。おかしかった。
◆ ◆
番組公式ページ とは別に、
★出かけよう「日美旅」
第108回 ニューヨーク/イースト・ビレッジへ ソール・ライターが暮らした街を歩く旅
というページが用意されていた。やるなあNHk。ソール・ライターの写真は、住居の近所200mくらいの範囲を撮影したという。1950年代の町並みや人がいい。車など、まるでキューバの道路みたいに旧型の車種(もちろんガタのきてないピカピカ)が走っている。タイムカプセルだ。
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