本のリストの本 南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、林哲夫、正木香子 創元社 2020年08月30日 第1版第1刷発行 287頁 |
「本のリスト」ってやつが好きだ。何年も前、分厚い文庫の出版目録のようなものまで買っていた時期があった。ネットが存在しなかった時代、書店のレジ脇に置いてあって、お客から聞かれたときに調べるための目録。毎年刊行され、7千円くらいしていたような。今では書名さえ覚えていない。仲良しだった店長さんから、「前年に店で使って不要になった分を無料であげるから、毎年は買わなくてもいいんじゃないか」と言われたこともあった。こちらとしては、新刊も見たいので、それは丁重にお断りした。
そのころは、「集書手帖」も持ち歩いていた。欲しい本の書名、著者、出版社、出版年、価格をメモしたもので、書名の手前にアルファベットのA~Cのランクを付けていた。このランクは自分にとっての欲しい順なのだが、古書だと入所困難がAに格上げされるところが重要なポイントだったりした。ネットがない時代、Amazonなど夢のまた夢だったころには、古書だけではなく、新刊書であっても買い逃したらその後、入手が難しかった。街の書店はたくさんあっても、注文してから2~3ヶ月も待つことはあたりまえのことだった。下手をすると、それだけ待たされたあげく、やっと届いた返答が、「すでに絶版です」ということだってあった。
本書は、そんな本好き(リスト好き)にとって、最大級に待ち望んでいた内容だ。一応はエッセイ集の体裁をとっていても、大量の「本のリスト」が掲載されている。ただただ、その本のリストを眺めていられるだけでもう満足している。もちろん、リストにはさまるエッセイが心を和ませてくれることは言うまでもない。
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出版社サイトにすごいページが用意されていた。いいぞ創元社。リンク、こちら。内容紹介ページは他社にもある。さらに「目次」「著者紹介」「動画」のページまである。ここまでなら、まだ理解できる。驚いたのは、それらに加えて、「ダウンロード」なるページまでもが用意されていたのだ。ここには『本のリストの本』に掲載の「本のリスト」というPDFファイルが落とせるようになっている。そのファイルの内容がすごい。『本のリストの本』の全リスト が掲載されている。
本書で紹介した48のリストを著者別でリストにしてみました。眺めて味わうもよし、紐解いてみるもよし、あなただけのリストの世界を楽しんでください。
だそうだ。全部で13ページ。これって、本書の巻末にも掲載されているのだが、電子データというところが気に入った。なにしろPDFファイルだから、もちろん検索だってできる。もっとも、このリストは検索するよりも、ベタでじ~っと眺められるのがいいのですよ。たまりませんね。こんなのまで無料で公開してしまって、いのでしょうか。サービス満点。
創元社には、本書とペアをなすような『本の虫の本』なる、これまた魅力的な本がある。
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