[NO.1512] MORI Magazine3

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MORI Magazine3
森博嗣
大和書房
2019年07月20日 第1刷発行
216頁

これって本なのだろうか。タイトルにマガジンとあるからには雑誌のつもりなのだろう。それなのに書籍として流通している。そんなことはともかく、これで3冊目になってしまった。冒頭で著者はこれで最後、次はないと言っているが。今回は前にも増して脱力している。ファン以外にこれを読んで面白がる人がいるだろうか。

全編、Q&A形式が続く。「質疑応答は続くよどこまでも」だそうだ。内容は人生相談だとか対談だとか(もちろん著者の創作した人物たちによるやりとり)、多少は違っても、その人をくった回答はかわならい。ロングインタビューまである。

ショートショートが3編。それもほんとうに短い。

前にもまして、はやく店じまい(つまり小説家を廃業したい)のだと言い続けている。一日あたりの仕事時間は45分間だとのこと。新作が出ているのは、これまでお世話になった出版社や編集者への義理からだとも。新作は少なくとも1年前には書き上げているという著者の時間を守るのは当たり前というスタンスが面白い。

ところで、さらに引っ越しをしたいのだそうだ。今、住んでいるのは標高の高い長野県という噂だが。しばらく前に某スウェーデンハウスのメーカーサイトに著者の家が載っていたのだが、その後削除されたらしい。ネットでは随分豪勢な輸入住宅の写真だった。エッセイでは暖房によって、冬でもシャツ1枚とかあったな。

本書にところどころ出て来る居住地にかかわる記述が面白い。

P006
(書斎には)パソコンが二台あって、いつもウィンドウの上に時刻を表示しています。日本時間も表示しています。

P164
ここは(すぐ近所の草原)、夏は羊がいるし、(略)家から五分ほどなので......


P196
これまでも、引越となると、荷物が多くて大変だったんですよ。コンテナとかに詰め込んで、船便で送ったりするから、到着に半年くらいかかったりして......。

P199
(ラジコン飛行機を飛ばせる)その牧場は、僕の庭の隣で、歩いて五分くらいなのです。
近くに建物はありますが、すべて空き屋。僕の家が一番近いのです。

どこにも国外とは書いてはいない。著者による倒叙型ミステリ仕立てのエッセイがあったことを思い出す。しかしなあ、コンテナで荷物を送って、(それも船便で)半年も到着にかかるって、いったい国内だったらどこなんだ? 名古屋から発送するとして、やっぱり長野県はおかしいだろう。北海道か? はたまた離島だったりして。

楽しみだったブログ「店主の雑駁」が昨年末で終わって、1年が経つ。