タイタンの妖女/ハヤカワ文庫SF〈SF1700〉 カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉久志訳 早川書房 2009年02月20日 印刷 2009年02月25日 発行 477頁 |
タイタンの妖女/ハヤカワ文庫SF〈SF262〉 カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉久志訳 早川書房 昭和52年10月31日 発行 昭和56年09月30日 4刷 |
久しぶりにタブレットで「松岡正剛の千夜千冊」を見ていると、しばらく前(05月23日)に、1742夜「カート・ヴォネガット・ジュニア●プレイヤー・ピアノ」が取り上げられていたことに気づいた。
そうか、一人の作家について、一冊しか選べないというルールを課している千夜千冊で、カート・ヴォネガットから選んだのは「プレイヤー・ピアノ」だったのか。それにしても、どうして今ごろカート・ヴォネガットなんて古い作家を取り上げたのだろう、などと、とりとめのないことを考えながら読み進めた。
すると、ハヤカワ文庫SF『タイタンの妖女』書影とともに、解説が太田光になっている。あれま、太田さんの熱量が高くて、それが理由で新しく付け加えられたのか。ちょうど、ハヤカワ文庫SF『タイタンの妖女』は、読み返そうとしていたところだった。どうやらこちらの知らぬ間に、新装版として出版されていたらしい。白状すると、読み返そうとしたものの、あまりにも活字が小さくて、今回は最後まで読み通すことができなかった。そこで、早速、手にした新装版は、活字も大きくて読みやすい。旧版は346頁、新装版は477頁と100頁以上も増えている。
「新装版の刊行に寄せて」と題した訳者浅倉久志さんの紹介文によれば
P466
翻訳者にとっていちばん楽しいのは、自分の大好きな作品を訳しているときではないかと思いますが、今回、以前の訳文を原文と照合しながら赤を入れるのも、それに劣らずたのしい仕事でした。(途中略)今回の新装版刊行に際して、原作と訳文をくわしく照合し、あまたの誤訳や、脱落箇所を指摘してくださった早川書房の(以下略)
とあるので、改稿しているのだ。こちらの脳内には、細かな文章は残っていないので、気がつかない。ついでに挙げるなら
P148
借りちゃった テント、あ テント、あ テント、
の羅列。これは変わりない。その昔、仲間うちで、このセリフが流行った。
今は便利な時代だから、すぐに観ることができる。手持ちのアーカイブスでキューブリックの『バリー・リンドン』を探した。歩兵が太鼓のドンドコ・ドンドコに併せて銃を撃ちながら合戦する場面を見返す。
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タイタンの妖女/ハヤカワ文庫SF〈SF1700〉
あらためて、太田光さんの文章を読む。なるほど。ついでに、ネットでも検索すると、いくつか太田さんによる『タイタンの妖女』について書いている記事が見つかった。そちらのほうがハヤカワ文庫の解説よりも、ずっとわかりやすい(かもしれない)。たとえば「爆笑問題のススメ最終回 ゲスト:太田光「死ぬまでに読め!のススメ」の中の「4冊目:「タイタンの妖女」カート・ヴォネガット・ジュニア」。テーマについて、語っている。
で、思った。爆笑問題の所属するタイタンという事務所は、現実的な太田光代さんが実務を担っているのだなあ。
ついでに、大きな活字で5頁分の解説を手打ちで入力してみる。文体が独特。句読点の打ち方など。漢字の使い方でも変換に戸惑うところがある。ふーん。出版社の校正が入っているのだろうけれど。
なんだか力こぶがはいっているみたい。
もともと持っていた旧版のデータも残しておくことに。もちろん、表紙カバーはとっくに紛失。ネット検索すると、すぐに見つかる。まったく覚えていなかった。
タイタンの妖女/ハヤカワ文庫SF〈SF262〉
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