[NO.1457] 絶景本棚

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絶景本棚
本の雑誌編集部
本の雑誌社
2018年2月25日 初版第1刷発行
221頁

『本の雑誌』巻頭に毎月掲載されたカラー写真をまとめた特集。『本の雑誌』を手に取ると、最初にページを開けるのが、ここ。毎月、一人の蔵書棚を写真で見ることができる。いちいち毎月の号を引っ張り出さなくとも、それがまとまっているのだから、本好きにとっては宝の山だ。ページを繰るたびに、掲載されたそれぞれの内容を思い出す。いつまでも眺めていたい。

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出版社サイトに、目次と紹介がある。リンク、こちら

初出一覧
第1章=本の雑誌2014年7月号「絶景書斎を巡る旅!」より再構成
第2章、3章、4章=本の雑誌2015年1月号~~2017年6月号「本棚が見たい!」書斎篇より再構成
読む本棚=小山力也「家に本棚がない曖昧な理由」/牧野伊三夫「本棚について」いずれも描き下ろし

もしかすると抜粋なのじゃないかな。第1章 二人目の「京極夏彦の本棚」を見ていて、例の格好をした京極さんが写っていた写真を思い出す。本書にはそれがない。上記「初出一覧」によれば、再構成とあるので違うのだろう。残念至極。

本棚が並ぶ蔵書部屋の様子、棚の書名が読める拡大写真、それぞれよろし。書庫、仕事部屋にある棚、居間や廊下に侵食している棚、それぞれがいい。足の踏み場もないほどあまりに雑然としていたり、図書館の書庫のように整然と並んでいたり。棚から溢れ、床に積み上げられたいくつもの本の山が崩れているものもあったりする。

蔵書数だけ挙げれば、その多さから何人かの有名な名前が思い出される。しかし、この本で取り上げ上げられているのは、いわゆる冊数の多さだけでない。それぞれの個性が面白いのだ。学術書ではない、大衆小説の箱入り初版を整然と並べた棚やポケミスのこれでもかあ、という棚。あるいはサンリオSF文庫の山。藤脇邦夫さんの小林信彦全点揃い。笑うしかない。

その昔、それなりに冊数をお持ちの蔵書家の写真付きのエッセイ集を何冊か集めていた。昔の単行本だったので、もちろん写真は白黒だし、小さくて、書名も判読できないものばかり。それでも伊藤整さんの溢れかえった様子や下村寅太郎さんの重装備と自ら呼んでいた蔵書の数々は忘れられない。それらの本は、自分で蔵書を並べられるだけのスペースを確保できないことが判明した時点で、処分したものだ。