今を生きる人のための世界文学案内 都甲幸治 立東舎 2017年10月13日 第1版1刷発行 250頁 |
著者はアメリカ文学を専攻する。「第1章 2015年以降の読書日記」は、雑誌『本の雑誌』に連載されたもの。
海外文学が不人気な今、こうした書評集は貴重な存在だ。著者がアメリカ文学専攻であっても、「第3章 世界文学をひたすら読む」では、アメリカ文学以外にも目配りがされている。
■ ■ ■ ■ ■
『本の雑誌』(2017年12月号)p45 の最後に、「めったくたガイド」翻訳文芸のカテゴリー担当である、江南亜美子さんが本書を取り上げて紹介している。(都甲幸治さんの後任を務めている)。
ちなみに、抜粋すると
p45
本書では星野智幸や円城塔の作品も「世界文学」として邦訳作品と同列で論じられる。日本産の小説か、海外産かを分割して考える必然性を私も覚えないので、この分類には賛成だ。以下略
個人的には、p194「サリンジャーを書き直す/円城塔『バナナ剥きには最適の日々』とp197「外側の眼/筒井康隆『世界はゴ冗談』が面白かった。ところで、サリンジャーって、今でも読まれるのだろうか。
おやっと思ったのが、「第4章 前山君のこと」p226 前山君と散歩した話。秋葉原で、お金がないから、中古の安い部品や基板を買ってはコンピュータを組み立てていたという逸話。前後から推測するに、1990年代のことらしい。柴田元幸教ゼミのつながりで、柴田家のコンピュータ整備を二人で引き受けていたのだという。その後、前山君の突然亡くなったところを含め、エッセイというよりも、私小説のよう。
出版社サイトに目次があった。リンクはこちら。
それにしても、本書を出している立東舎というのが、音楽関連で有名なリットーミュージックと同系列だったとは驚いた。
巻末に、索引とまでいわなくても、せめて初出一覧くらいは載せて欲しかったな。
コメント