[NO.1448] リトルプレスの楽しみ、のつづき

little press.jpg

リトルプレスの楽しみ、のつづき
柳沢小実
ピエ・ブックス
2009年03月18日 初版第1刷発行
111頁

こうした類の小冊子は、今も流行っているのだろうか。個人でも手軽にネットでブログやインスタグラム、動画サイトを作成できる時代だ。かつてのリトルプレスのような内容は、そうしたネット上へと移行しているのではないのか。そんなことを考えながら手にしたところ、本好きにとって、収められている画像は輝いていて、なんとも魅力的に思えてしまった。とても自分では作れそうになくても、本書にはページをめくる楽しみがある。書名からわかるように、続刊である。

■  ■  ■  ■  ■

10年も前に出版された内容は、今見ても色あせてはいない。手作りの重みは力をもっている。いったん形あるものとして世に出た本や雑誌は、後世に残っていくのではないか。

製本というほどの手間をかけなくても、工夫を凝らした形態が面白い。内容もだけれども、形として欲しくなる。本書自体、中の紙質に変化をもたせていて、面白い。

かつて、ある程度の規模をした書店であれば、レジ脇にこうした小冊子を目にすることが普通だった。地方であれば、その地域の若者が作ったものがあった。商工会ではなく、個人が編集していた。また、内容では、個性的な数多くの種類にわたるテーマのものもあった。それが今はほとんど目にすることがない。すっかり忘れていたのだ。

『谷根千』が終わったのはいつのことだっただろう。終刊号も含め、何冊か買った記憶がある。それほどメジャーでなくとも、個人で作って、書店に置いてもらっていた小冊子が数多くあった。自分の好きな分野で、手作りの冊子を作ろうという動きは、まだあるのだろうか。

ワードプロセッサーさえなかった時代、手書きだった。タイトルから奥付まで、地図さえもが手書きだった。紙質に凝り、ペンに凝り、職人技を競うようなものもあって、魅力的だった。

豆本を作る人たちは、今もいるのだろう。