[NO.1445] 春風亭一之輔 落語のたくり帖/春夏秋冬東京散歩のしおり

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春風亭一之輔 落語のたくり帖/春夏秋冬東京散歩のしおり
春風亭一之輔 濱田元子
自由国民社
2015年05月22日 第1刷発行
175頁

落語家 春風亭一之輔さんと一緒に担当編集者が回った落語にまつわる都内散歩エッセイ。2013年4月から毎日新聞に連載「ぶらっと落語歩き」から20編を季節ごとにまとめ、一之輔さんによる書き下ろし「ひとりごと」を加筆してある。散歩は毎日新聞学芸部 濱田元子さんとお二方で。写真も添えられていた。目次が出版社サイトにあり。リンクこちら
構成は季節ごとに5編の噺を選び、「あらすじ」「地名にまつわる手書き絵地図」が、それぞれ見開きのページ片側1ページずつ、「実際に歩いてみた様子」が見開き2ページからなる。短いので読みやすし。

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あらすじは本当にコンパクトなので、落語の内容を知らないと味わえないかもしれない。各ページには脚注として、語句の説明もある。

一之輔さんによる書き下ろし「ひとりごと」以外は、担当編集者による新聞掲載内容なので、片手間にも読めてしまう。散歩の中で一之輔さんの発した言葉が面白かった。一之輔さんファンには、「ああ、なるほど」と思える内容も多し。

さらに、「ひとりごと」の内容はどれも一之輔さんが書いたものだけに、私生活や生い立ちなどにもまつわることが多数。落語家になるまでのあれやこれや、ほとんど知っていたことだったが、それでも御本人が綴ったものは違った。

醤油で有名な野田出身のわりには、落語で舞台になった都内の場所を訪れるのは初めてというところが多かった。意外とそんなものなのでしょうかね。野田ついで、北関東のなまりがあるという件が、へーえ。一朝師匠のご出身は千住。そんなに違うのかな。

暴露風なネタだと、そそっかしいというところ。代役の時間、着替えの忘れ物の多さには目を引いた。何度も忘れたため、あわてて現地で買った安い足袋がたくさんあるとか。着物の帯はおろか、着物そのものを忘れたこともあったという。

3人のお姉さんに続いて、やっと生まれた男の子だったので、家族から可愛がられて育ったとも。「姉ちゃん」と書く、子供時代の内容はどれもおかしい。

落語噺ついでに都内を散策してはいるものの、一之輔さんファン向けの本だろう。