評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 横田増生 朝日新聞出版 2012年06月30日 第1刷発行 2012年08月05日 第4刷発行 327頁 |
ナンシー関が亡くなってから10年後に出版された評伝。著者はナンシー関よりも3歳年下のジャーナリスト。327ページにわたる詳細な評伝は、ナンシー関ファンにとって、ありがたい。なにしろ、絶頂期の39歳で急死してしまったのだ。そのことを知ったうえで読む評伝は、なんとも言えないスリルのような怖さを抱えながらページをめくることになる。
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ナンシー関のテレビ評を読みたくなることがある。2002年にナンシー関がなくなって以来、こんな魅力のあるものは他には見当たらない。
鴎外の娘森茉莉のベスト・オブ・ドッキリチャンネルというテレビ評もあった。こちらはこちらで独特の魅力があった。しかし、ナンシー関のテレビ評の魅力は違う。
彼女の書くものは語彙も比喩も難しくない。下世話ともいえるテレビの中だけで完結する内容。視点の妙。自分へのつっこみ。対象となる人物を知らなくても面白い。サブカル(今、この言葉はすでに死後だろう)好きだった高校時代、愛読誌は「ビックリハウス」「宝島」「スタジオ・ボイス」。好きなミュージシャンは鈴木慶一。ビートたけしのオールナイトニッポンをすべてカセットテープへ録音、何度も聞き返したという。
ナンシー関の出たテレビ番組が2本、関連番組が1本、手持ちの録画にある。今年はまだ見返していない。
現在は雑誌からWEBへと媒体の主軸が移り、TVの視聴者数も減少している。
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構成(目次)
第1章 ナンシー関の才能とその影響力
インタビュー。作家 宮部みゆき、テレビプロデューサー 土屋敏男、コラムニスト 小田嶋隆、イラストレーター 山藤章二。
第2章 〈ナンシー関〉が誕生するまで
デビューのきっかけは、広告学校で知り合った(えのきどいちろうの妻になる)白木理恵の紹介で消しゴムハンコが広まる。
第3章 青森での関直美
子どものころから片鱗はあった。
第4章 旅するナンシー、歌うナンシー
カラオケ好きになる前はバンドでベースを弾いていた。
第5章 ナンシー関の全盛期
主な参考文献
・ナンシー関の生前刊行/没後刊行
・ナンシー関の著作以外の参考文献
年表
【追記:関連リンク】
・ 各週刊誌の書評から(dマガジン)220516
稀代のコラムニスト没後20年 いつも心にナンシー関
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