[NO.1436] ぼくたちが聖書について知りたかったこと/小学館文庫

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ぼくたちが聖書について知りたかったこと/小学館文庫
池澤夏樹
小学館
2012年12月11日 初版第1刷発行
317頁

聖書について理解への一助とならないかなとちょっと期待しつつ。著者名が池澤夏樹氏となっていても、内容は秋吉輝雄氏との対談でした。そのぶん、読みやすい。

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P6 まえがき
二〇〇四年から五年間フランスで暮らして、キリスト教が(いわば人が生きる現場で)機能する場面を多く見てきた。弊害について論は無数にあるけれども、しかしカトリックの信仰に支えられて誠実に生きる人々にも何度となく会ったのだ。思想という側面から見ても、現代においてシモーヌ・ヴェイユや須賀敦子を無視して世界観を構築することはできない。

池澤夏樹氏はいったいいつからこのような文章を書く人になったのだろうか。特に終わりの「思想という側面から見ても、現代においてシモーヌ・ヴェイユや須賀敦子を無視して世界観を構築することはできない。」のくだり。デビュー当時の池澤氏にとっての世界観とは、少なくともシモーヌ・ヴェイユと結びつくとは思いがたい。もちろん、2004年からのフランス暮らしよりも以前のことだろう。いや、やっぱりこちらの思い違いなのだろうなあ。