[NO.1425] 宛先不明/講談社文庫

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宛先不明/講談社文庫
鮎川哲也
講談社
2010年07月20日 初版第1刷発行
262頁

「本格物」の我が国第一人者といわれた鮎川哲也の長編推理小説。初出は1965年7月、学習研究社からの書き下ろし。ネタバレにちょっとかすると、アリバイ崩しもの。解決されれば、突飛ではないので、小学生でも納得できるネタ。有名な鬼貫警部も出てくるが、終わりの方で唐突に登場するのみ。当時の風俗として、都内にトロリーバスが出てきた。巻末、解説にはネタばらしといえる記述あり。先に読まない方がいい。

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東京の大きな印刷会社の社員旅行で、山形に寄ったときに殺人事件が起きる。やや出版業界内幕のような描写と説明もあり。企業ものではない。山形の警察署から出向いた1名と警視庁の刑事で事件を捜査する。舞台は主に昭和40年の都内。

アリバイ崩しの定番、時刻表が中心に出てくる。が、解決の決め手は別にあり。

【ここから、ネタバレあり】
郵便の消印がポイントという発想は、外国ものにもあったのだろうか。都内の郵便局の管轄が入り組んだ地域に住む犯人が、別々の消印を得るために、短時間に効率よく道順を選んで投函して歩くというのが答え。

昭和の終わりころだったか、俳優の太地康雄主演でTVドラマシリーズがあった。この作品もドラマ化されたのだろうか。