[NO.1400] きっとあの人は眠っているんだよ

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きっとあの人は眠っているんだよ
穂村弘
河出書房新社
2017年11月20日 初版印刷
2017年11月30日 初版発行

穂村弘氏の文章が『本の雑誌』で連載が載るようになったのはいったいいつ頃からだったのか。吉野朔実氏の書評関連で目にしたのが最初?

当時、短歌作者というのが珍しかった。で、本書について。

冒頭、『○○』(著者名、出版社名)を読んだ。で始まるのがいい。(本書の途中からなのだが。)この書き方、まねしたい。......を読んだ。の変形版も多数あるが、このシンプルさがいい。

取り扱う内容は漫画、詩集、歌集が多くて、あまり興味をそそられるものは少ない。初出は週刊現代、週刊文春連載の書評から。

P95
『スバらしきバス』(平田俊子、幻戯書房)が面白かった。特に、紹介されている小学生のエピソードも。

二人は並んで腰掛けて仲よくおしゃべりしていたが、いくらも乗らないうちに降車ボタンを押して降りていった。窓から見ていると、二人は傍らの歩道をバスの進行方向に走り出した。笑いながら、バスと競争するように。この子たち、もしかして......。ある予感がして二人を目で追いかけた。環七は混んでいて、バスはのろのろ運転だ。女の子たちは歩道を走り続ける。次のバス停でバスがとまると、思った通り、その子たちは息を切らして乗り込んできた。

穂村氏はこの行為を「傍迷惑な天使の遊び」と呼んでいる。この説明に移る一つ前のエピソードも気にかかる。で、紹介されている『スバらしきバス』を読んでみたくなった。読者に読む気を起こさせた書評。

書名のキャッチーなところが、まず違いますよね。