[NO.1379] 騎士団長殺し/第1部顕れるイデア編

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騎士団長殺し/第1部顕れるイデア編
村上春樹
新潮社
2017年2月25日 発行

これまで70年代~80年代はともかく、村上春樹さんの新作は読んでも記録してこなかったが、珍しく遺すことにしてみた。

ストーリー云々はおいておいて、気になった語句について。
著者はカタカナ表記を省略しないのだという発言をどこかで目にしたことがある。ところが本作はのっけから(p13)「エアコン」が目に飛びこんできた。以前であれば丁寧に「エアコンディショナー」だった。ところが(p22)「コンビニエンス・ストア」だったので、ちょっと安心する。

表記とは異なるが、(p94)『騎士団長殺し』と記されていた という名札について。名札が簡単な額にとめられていたのは「針金」だったというのだ。針金でとめられた名札って、どんなものなのか一瞬イメージがわかず、読書のスピードがいったん止まった。で、しばらくしてから思い出した。昔あった荷札みたいなものか。たしか、国鉄で荷物を送る際(チッキといったような)に使った荷札には細い針金がついていたものだ。エナメル線よりも細かったかもしれない。あんなのは今どき思い浮かべられる人って、いったい何人いるだろうか。いくらその絵が以前に屋根裏へしまい込まれていたとしても。

つまらない些末なことをつっついても仕方がないが、そんなことを思った次第。

それと、何遍読み返しても見つからなかった表記に「詮ない」があった。(「栓無い」かもしれない)。

最後に、この話もやっぱり『グレート・ギャツビー』を敷衍しているのだろうか。こうしたことには疎いのだが、それにしても似ている。