[NO.1358] こんな本があった! 江戸珍奇本の世界

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こんな本があった! 江戸珍奇本の世界
塩村耕
家の光協会
2007年4月1日 第1刷発行 128頁

前書きから引用

p5
先人の配慮のおかげで、日本には豊富な古典籍が残されている。ところがその中で、明治以降、翻刻(活字化)されたものは、全体の何百分の一に過ぎないだろう。とうぜん、昔の事物について少し専門的に調べようとするならば、古典籍に直接よらなければならない。とりわけ、多くの資料が残されている「書物の時代」である江戸時代については、なおさらのことだ。
にもかかわらず、研究者や学生さえ、そういった資料を手にとって仕事をする人がどんどん少なくなりつつある。細分化に由来する学問の全般的な浅薄化と、同時代的要請ばかりに目を向ける極端な実学重視の風潮が、その背景にあるのだろう。

ここでもまた、グルーバル化と本からの離脱の話題か。

中身は見開きで一冊、もしくは片側一冊の古典籍の紹介。どれもきれいで面白そうなカラー写真入り。(後半、白黒になるのが残念)。ぱらぱらめくっていて楽しい。

p47
神童が漢訳した桃太郎伝『桃郎伝(とうろうでん)』面白し。三歳で千字文や大学章句を読み、六歳で詩を、八歳で文を作り始め、読書は四書五経はもとより諸子百家に及んだという。で、十歳にして漢訳したのが本書だという。
現代との違いも面白し。早熟はいつの世にもいたのだ。

p78
幕末明治を生きた修験者の一代記『大黒天開運録(だいこくてんかいうんろく)』は読みふけってしまった。自伝。仲間の嫉妬をかい、地方にとんだり、維新を生き延びたり。