本の読み方/墓場の書斎に閉じこもる 草森紳一 河出書房新社 2009年8月20日 初版印刷 2009年8月30日 初版発行 再読 |
あの草森紳一が書いた本の内容とあらば、これは読まずにいられまい、と手に。
初出は『ノーサイド』連載「本の読み方」(一九九四年八月号~一九九六年六月号)。どの話にも読書する人の写真がついており、その姿がなんともこちらの気を引く。撮ったのは草森紳一自身とある。表紙の黄色い帽子の女の子は地下鉄の通路みたいなところで本に没頭している。歩いている途中で、話の面白さに思わず足が止まりかけた瞬間のように見える。この気持ち、よくわかる。自分も小学生のときに学校の図書室で借りた本を読みながら下校していて、道路脇のコンクリートでできた下水溝にすとんと落下した記憶がある。子どもの膝丈くらいはあったろうか。かすり傷くらいはしたはずだが、それ以上の怪我をしなかったのが不思議なくらいだ。学校から帰宅するまでが待てなくて、夢中に読みふけった結果だった。以後、しばらくはこれに懲りて自粛したが、また懲りずに読み出したように思う。
裏表紙は大きなタイヤの脇で(修理工場のような場所)、中年男性が小さな子ども用のような椅子に座り、やはり本に没頭している。もしかすると月刊誌かもしれない。
野外での読書は気が散るという。いかにも草森氏らしい。北海道の書庫写真を思い出す。居心地良さそうだった。
どれも数頁の短文で、軽く読める。けっして学術的にはならない。対象は洋の東西を問わず、また時代も自由に行き来する。毛沢東から、ブラッドベリ、ウォーホル、唐詩......。興味の対象は問わず。中国ものの紹介が珍しい。
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