『考える人』再読

考える人
坪内祐三
新潮社
2006年8月25日 発行
再読

 このブログ内「ほんのあれこれ」に「2006年12月9日(土)NO.277」として掲載した。ところがこれは、坪ちゃんの「あとがき」をそのまま抜き書きしただけの内容。この頃はブログの全盛期で、サイトのカラオケ化などとも呼ばれたことに反発したこともあって、自分の下らない感想など、載せてたまるかといった理由から、一切オリジナル文は出さなかったような気がする。

 今回、再読してみて新鮮だったのが、以下に引用する「成熟」に関する部分。10年前にも同じところを引用していたことが可笑しい。

しかし考えてみれば、私は、もはや若くはないのです。
 私の世代、そして私よりひと廻り上の団塊の世代の人たちが、自分はまだ若いと思い続けている内に、きちんと成熟する機会を失ない、いま、日本は、とてもひどい国になってしまいました。
 だから、私は、私なりの成熟を確認するために、そのことを考えてみるために、この連載を引き受けることにしました。つまり私がリスペクトする先人、「考える人」たちの考えを媒介に、自分もまた「考える人」たらんと目指しました。

 40歳代でこんなことを考えていたのですねえ。

  ■  ■  ■

 人選も面白し。小林秀雄、田中小実昌、中野重治、武田百合子、唐木順三、神谷美恵子、長谷川四郎、森有正、深代惇郎、幸田文、植草甚一、吉田健一、色川武大、吉行淳之介、須賀敦子、福田恆存。

 いわゆる文芸評論ではない。考える人としての考察だから、これが新鮮。

【追記】
 その後、公開することもあって、抜粋・引用のみの投稿内容は変更。カラオケのようであっても、若干の駄文を挿入してある。