[NO.1336] 文体練習

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文体練習
レーモン・クノー
朝比奈弘治
朝日出版社
1996年10月31日 初版第1刷発行

実験小説として有名だったのに、今回が初読。

なかみはごく短くたわいのない出来事を、それこそいろいろな表現の仕方で、それも99種類という多さ! で、手を変え品を変え書き換えてある。

その短くたわいのない出来事の要約を松岡正剛氏『千夜千冊』0138夜から引用

ある日、バスのなかでソフト帽をかぶった26歳くらいの男が隣の乗客が押してくるので腹をたてるものの、その口調はたいした剣幕ではなくて、別の席があくとそそくさと座る。その2時間後、サン・ラザール駅前のローマ広場でその男をまた見かけた。連れの男がいて「君のコートにはもうひとつボタンがいるね」と言っているのが聞こえた。

この内容を、たとえば橋本治『桃尻語訳 枕草子』のように書いたかと思うと、今度は手紙の形式で書き換えて......という具合。これが99とおり。

短いストーリーを表しているのだろうが、白黒写真でコラージュのように紹介されているページがある。この男の年齢が老けて見える。1947年、パリの26歳は、現在50歳代になってしまうのか。(爆)

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