[NO.1315] 大塚女子アパートメント物語

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大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館にようこそ
川口明子
教育資料出版会
2010年10月1日 第1刷発行

解体されたのが2003年。その頃、TVで何度か放映された記憶がある。藤森照信氏の建築探偵による影響から、建物についての扱いだったような。

本書は建物よりも住人についての興味が濃い。

p13
タイピストや、教師、編集者など、当時の花形の職業についていた女性がここでモダンな生活を送っていた。谷崎潤一郎の二人目の妻となった古川丁未子(とみこ)、ロシアからやってきたバイオリニストの小野アンナ、このアパートを舞台にした作品で推理小説作家となった戸川昌子、一九七0年代のフェミニズムのオピニオン・リーダーとなった駒尺喜美(こましゃくきみ)らが個々で生活し、ここから巣立っていった。さまざまな人生が交錯し、新しい価値観が醸成された。

ここで紹介された名前の人物が大塚女子アパートに住んだあたりのことについて、それぞれページを割いている。戦前と戦後では、家賃が大きく異なるため、住人の階層が違ったことが特徴だった。

どちらかというと地味目な装丁だが、中身は面白し。