[NO.1299] 辞書になった男

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辞書になった男/ケンボー先生と山田先生
佐々木健一
文藝春秋
2014年2月10日 第1刷発行

表紙裏に記された惹句が簡潔にして本書の内容を指し示している。いわく

一冊の辞書(『明解国語辞典』)をともに作ってきた二人は、なぜ決別したのか。? なぜ一冊の辞書が二つ(『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』)に分かれたのか? --昭和国語辞典史最大の謎がいま、解き明かされる。

『三省堂国語辞典』を作ったのが見坊豪紀(けんぼうひでとし)。『新明解国語辞典』は山田忠雄(やまだたたお)。ともに東大で学んだ間柄だったという。

結論から先にいえば、二人の方針の違いから二種類の国語辞典が生まれることとなった。その方針の違いが『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』に現れているのだそうだ。どちらかといえば、赤瀬川原平著『新解さんの謎』が売れたことも手伝って、『新明解国語辞典』の方が有名であろう。なにより、その語釈と用例のユニークさは記憶に残るものが多い。本書でも、『新明解国語辞典』から引用されている語釈と用例は抱腹絶倒ものばかり。

それにしても、本書の元となったBSプレミアム番組『ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男』を見たいものだ。