競売ナンバー49の叫び トマス・ピンチョン 志村正雄 訳 筑摩書房 1992年11月10日 初版第1刷発行 |
再読。ただし、初読時はほぼ流し読みだったので、今回が事実上の初めて読むことになる。
ただあらすじを追うだけでなく、文章そのものも味わいたいとすると、本書はくるしい。訳がぶっきらぼうなのだ。おそらく原文と突き合わせてみると、直訳に近い、わかりやすい訳し方をしているのではないか。もっと、日本語の小説として一貫したセンスを前に出してもらってもよかった気がする。
新訳が新潮社から出ていたことを、さっき知った。そっちも読んでみようかな。
書かれた時期を見ると1964年。約50年も前になる彼の地の生活が、ちょうど今の日本人の生活に似ている。妙にそんなところにばかり目がいく。いや、いくらなんでも「今の日本人の」といってはあんまりかもしれない。しかし、それにしてもだ。1964年当時の日本......。生活差があったなあ。
おかしかったのが、p103でいきなり登場した図柄があったこと。こりゃあまさしく、『風の歌を聴け』だ。
(図版5)テュールン、タクシス家発行の切手
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