芭蕉のガールフレンド/お言葉ですが...9 高島俊男 文藝春秋 2005年2月10日 第1刷 |
面白くて仕方がない。読み終えるのがもったい。
自分でも、高島氏がいっているそんなことなど知らないくせに、痛罵している高島氏の側に自分の身を置いて、間違えた大学教授たちを笑っているのだ。この構図は読者を痛快にさせてくれる。ソーダ、ソーダ、アハハと読み進めて、本を閉じてから、自分も笑われている対象者と同じだったことに気づいて......。なんともはや。
旧暦についての連綿と続くことども、読んでいる最中は気分がよろし。
著者の書くものは、学者としての専門領域である漢文の知識から、主に現代の間違った言葉遣いを指摘していくのが中心だが、その他に社会全般に向けてのエッセイがある。謙遜しながら、自分は昭和二十年代で止まってしまった人間だから、そんな古くさい目をとおして現代日本社会がどう見えるのかを書いている。しかし、読ませどころは文章の面白さなのだろう。
あらためて文体に注意して読むと、面白い。旧字旧仮名こそつかっていないけれど、それならば、どう書けばいいのか。これもひとつの手本。中に故丸谷才一氏とのやりとりが出てきて、やっぱり。また、当然のことのように、本書にも故山本夏彦翁も登場する。
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